新羅征討計画とは？意味をやさしく解説

新羅征討計画

新羅征討計画は、古代日本が朝鮮半島の新羅に対して行った軍事的な遠征計画の総称です。飛鳥時代を中心に複数回計画されましたが、様々な要因によって実現しなかったものも多くありました。

推古朝の新羅征討計画

日本書紀によると、飛鳥時代には新羅に対して3度の征討計画が立てられました。これは、562年に新羅によって滅ぼされた任那日本府の復興を目的としたものでした。

第一次新羅征討

推古8年（600年）2月、任那を救援するため、境部摩理勢を征新羅大将軍とする遠征軍が派遣されました。穂積祖足が副将軍を務めました。日本軍は新羅の5つの城を攻略し、新羅を降伏させました。さらに、多多羅、素奈羅、弗知鬼、委陀、南迦羅、阿羅々の6つの城を攻略しました。難波吉士神を新羅へ、難波吉士木蓮子を任那へ派遣し、両国に朝貢を約束させました。しかし、日本軍が帰国後、新羅は再び任那に侵攻しました。

翌推古9年（601年）3月、大伴連囓を高麗へ、坂本臣糠手を百済へ派遣し、任那の救援を命じました。同年9月には、新羅の間諜が対馬で捕えられ、上野国に送還されました。この事件を受け、同年11月に第二次征討計画が持ち上がりました。

第二次新羅征討計画

推古10年（602年）2月、聖徳太子の弟である来目皇子が征討将軍に任命され、2万5千の兵を率いて出陣しました。4月には筑紫に到着しましたが、来目皇子が病に倒れ、進軍は延期されました。同年10月には百済の僧侶観勒が来日しています。

来目皇子は征討を果たすことなく、翌推古11年（603年）2月4日に筑紫で亡くなりました。

第三次新羅征討計画

推古11年（603年）4月、来目皇子の異母兄である当麻皇子が征討将軍に任命されました。同年7月に難波から出航し播磨に到着しましたが、妻である舎人皇女が明石で亡くなったため、当麻皇子は帰還し、計画は中止となりました。

藤原仲麻呂による新羅征討計画

天平宝字2年（758年）、唐で安禄山の乱が発生したことを受け、藤原仲麻呂は大宰府をはじめとする諸国の防備を強化しました。天平宝字3年（759年）には、新羅が日本の使節に対して無礼を働いたとして、仲麻呂は新羅征討の準備を開始しました。軍船394隻、兵士4万700人を動員する大規模な計画でしたが、孝謙上皇と仲麻呂の不仲が原因で実行されませんでした。

まとめ

新羅征討計画は、当時の国際情勢や国内政治の変動に大きく影響され、計画倒れに終わったものも多くありました。しかし、この計画は、古代日本の外交政策や軍事力を知る上で重要な史料となります。

新羅征討計画