新見政一

新見政一：先見の明を持つ海軍軍人

新見政一（1887年2月4日 - 1993年4月2日）は、日本の海軍軍人であり、戦史研究家です。最終階級は海軍中将。広島県広島市出身で、海軍兵学校を卒業後、砲術専攻の士官としてキャリアを積みました。また、オックスフォード大学で国際法を学び、日本海軍有数の知英派としても知られています。

戦史研究と先見性

新見の特筆すべき点は、第一次世界大戦の戦史研究を通じて、次期世界大戦が総力戦になること、そして艦隊決戦ではなく海上交通線の防御が重要になることを早くから認識していたことです。彼は、大本営が政治戦略と一致した機関であるべきこと、そして海上交通線防御の必要性を訴えましたが、当時の軍部からは異端視されました。しかし、太平洋戦争の推移は、新見の予測が正しかったことを証明しました。

海軍教育への貢献

新見は、海軍大学校で戦史教官を5年間務め、教育局長時代には海軍防衛学校の設立を提案しましたが、軍務局の反対により実現しませんでした。しかし、彼は海上交通防御の重要性を強く認識しており、海軍機雷学校の設立に尽力しました。井上成美との間には、教育方針や兵機一系化を巡って意見の対立がありましたが、両者とも親英米路線では一致していました。

戦争への警鐘

日独防共協定締結後も、新見は英国が日本との協調を望んでいると判断し、米国の国力から米英との協調こそが日本の進むべき道だと主張しました。彼は、独伊との接近が危険であると訴えましたが、彼の意見は受け入れられませんでした。

戦後の活動

戦後、新見は海上自衛隊幹部学校の特別講師を務め、再建された水交会では「海軍反省会」の最高顧問を務めました。また、彼は第二次世界大戦の戦史研究に励み、82歳から84歳にかけて『第二次世界大戦戦争指導史』を著しました。この著作は昭和天皇に献上され、天皇は新見の著作が出版されたことを喜び、皇太子明仁親王にも贈られました。

新見政一の人物像

新見は、自らの意見を強引に押し通すことなく、他人と争うことを好まない穏やかな性格でした。106歳という長寿を全うし、海軍の最長老として多くの後輩から慕われました。彼の著書や発言は、今もなお、日本の軍事史を研究する上で重要な資料となっています。

新見政一は、その先見性と冷静な判断力によって、激動の時代を生き抜いた人物であり、後世に多くの教訓を残しました。彼の生涯は、日本の海軍史、そして戦争史において重要な一章を飾っています。

年譜

1887年（明治20年）2月4日 - 広島県安芸郡川内村（現在の広島市）に生まれる。
1905年（明治38年）12月2日 - 海軍兵学校に入校。
1908年（明治41年）11月21日 - 海軍兵学校を卒業、少尉候補生として一等巡洋艦「阿蘇」に乗組。
1910年（明治43年）1月15日 - 海軍少尉に任官。
1911年（明治44年）12月1日 - 海軍中尉に任官。
1914年（大正3年）12月1日 - 海軍大尉に任官。
1919年（大正8年）11月26日 - 海軍大学校甲種を卒業。
1920年（大正9年）12月1日 - 海軍少佐に任官、海軍砲術学校教官に。
1924年（大正13年）12月1日 - 海軍中佐に任官。
1929年（昭和4年）11月30日 - 海軍大佐に任官。
1935年（昭和10年）1[[1月15日]] - 海軍少将に任官。
1939年（昭和14年）1[[1月15日]] - 海軍中将に任官、海軍兵学校長に。
1941年（昭和16年）4月4日 - 第2遣支艦隊司令長官に。
1942年（昭和17年）7月14日 - 舞鶴鎮守府司令長官に。
1944年（昭和19年）3月20日 - 予備役編入。
1993年（平成5年）4月2日 - 106歳で死去。

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