新観音トンネル

新観音トンネルは、台湾宜蘭県南澳郷に位置する、台湾鉄路管理局北廻線の重要なトンネルです。その全長は10,307メートルにも及び、台湾で最も長い山岳鉄道トンネルとして知られています。このトンネルは、北廻線の輸送能力を大幅に向上させるために建設されました。

建設の背景

新観音トンネルは、北廻線の複線電化工事の一環として計画されました。以前は武塔駅と漢本駅の間には13.2キロメートルの単線区間があり、輸送能力のボトルネックとなっていました。この問題を解決するために、新観音トンネルが新たに掘削されました。トンネルの北口は武塔駅の南、南澳南渓の南側に位置し、南口は漢本駅の北側に位置しています。トンネル全線が複線電化されており、列車がよりスムーズに運行できるようになっています。

工事の工夫

10キロメートルを超える長大なトンネルであるため、建設期間を短縮するために複数の場所から掘削が行われました。具体的には、南北の坑口からの掘削に加え、途中に北横坑と南横坑が設けられ、合計6箇所から同時に掘削が進められました。この工夫により、効率的に工事が進められました。トンネルは2001年8月に貫通し、その後、2003年から使用が開始されました。

運行と効果

新観音トンネル内では、制限時速130キロメートルという高速での列車運行が可能となっています。これにより、北廻線の線路容量は大幅に増加し、より多くの列車が運行できるようになりました。また、新観音トンネルの開通に伴い、並行していた旧線の観音トンネル（7,740メートル）、鼓音トンネル、谷風トンネル、そして観音信号場は廃止されました。

まとめ

新観音トンネルは、台湾の鉄道輸送において非常に重要な役割を果たしています。その長大さ、複線電化、高速運行、そして工事の工夫は、台湾の鉄道技術の進歩を示す象徴的な存在と言えるでしょう。北廻線の輸送能力向上に大きく貢献し、地域交通の発展を支えています。

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