新選組隊内において粛清された隊士

新選組隊士の内部粛清の歴史

新選組は、幕末の時代において重要な役割を果たした武士集団ですが、その内部には権力争いや信義の逸脱があったことを示す事例がいくつか存在しています。本記事では、新選組内部で粛清された隊士たちについて詳述し、その背景と意味を考察します。

1. 近藤・土方体制と始まる粛清

新選組がその体制を確立していく過程で、いくつかの隊士が排除されました。例えば、殿内義雄と家里次郎は、主導権を掌握するために粛清の対象となりました。また、新見錦は非行を理由に切腹を余儀なくされましたが、彼が脱隊した後の長州で腹を切ったとも言われています。

田中伊織は、近藤の意向に反した行動を取り、暗殺されたとされています。このように、主導権を巡る闘争は新選組の内部にとって大きな問題でした。

さらに芹沢鴨と平山五郎も、酒乱の行動が災いし、睡眠中に暗殺されるという事件が発生しました。他にも、野口健司は理由が不明なまま切腹し、平間重助は切腹を免れたものの居場所を失って逐電しました。これらの排除は、新選組の内部における緊張関係を象徴しています。

2. 分隊行為と反体制行動

脱藩を試みたり、他の藩士と接触を持った隊士もいました。田中寅蔵は御陵衛士との接触が問題視され、茨木司や佐野七五三之助などは離隊を試みましたが、失敗し抗議の切腹に至りました。伊東一派も、新選組の権力構造に挑戦する動きがあり、それを理由に多くの人材が排除されました。

伊東甲子太郎は、近藤に呼ばれて帰り道に大石鍬次郎によって斬殺されるという悲劇的な結末を辿りました。藤堂平助らも伊東の死を口実に誘き出され、残酷にも斬殺されました。このように、単なる忠誠心にとどまらず、個々の信念と行動が命取りになるケースが多々ありました。

3. 倫理と道徳の問題

新選組内部には、倫理や道徳を重視する考えが強かったため、個々の問題行動が大きな問題として取り上げられることがありました。松原忠司は、土方に斬った男の妻の件を持ち出され、心中するかのような行動を取り、結局切腹に追い込まれました。さらに、施山多喜人や河合耆三郎は、それぞれ不倫や隊費の問題で切腹に至るなど、道徳的な判断が厳しく問われることがありました。

このような複雑な事情と背景が、粛清の原因となっていったのです。新選組は、その名の通り「新しい選び」を目指し、時代の波に乗ろうとしていましたが、内部の冷酷な潰し合いが、その理想を大きく損ねる結果となったのです。

まとめ

新選組の粛清は、単なる権力闘争にとどまらず、隊士たちの信念や倫理観にも深く根ざしていました。彼らの行動や選択が、結果的に命を脅かすことになり、個々の事情が新選組全体に大きな影響を与えたことを理解することが重要です。内部の争いは、歴史に名を刻む集団にとって避けることのできない運命だったのかもしれません。

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