新雪 (小説)

小説『新雪』とその展開

『新雪』は、藤澤桓夫による小説であり、同名の映画作品および主題歌が存在します。小説は1941年11月24日から1942年4月28日まで『朝日新聞』に154回にわたり連載されました。太平洋戦争の始まりという混乱の中で連載が行われましたが、作中の「さわやかな恋物語」は多くの読者に支持されました。

この作品は、国民学校に勤務する青年教師・蓑和田を主人公に、彼の淡い恋愛模様を女医と恩師の娘との関係を通じて描いています。恋愛の微妙さや切なさが、当時の読者に大きな共感を呼び起こしました。1942年には五所平之助による映画化が実現し、水島道太郎と月丘夢路、美鳩まりといった有名な俳優が主演を務めました。この映画は大ヒットし、大映初の成功作として評価されました。

映画『新雪』の詳細

映画は1942年10月1日に公開され、館岡謙之助が脚本を担当し、五所平之助が監督を務めました。撮影は神戸市の高羽国民学校で行われ、当時の生徒たちもエキストラとして参加しました。映画を見に行ったエキストラの生徒たちが、映画が恋愛ものだったために子どもが入場できなかったというエピソードは、作品が持つ独特の雰囲気を一層引き立てています。

残念ながら、長い間この映画のプリントは存在していないとされ、「幻の映画」とも呼ばれていました。しかし、1996年に東京国立近代美術館フィルムセンターがロシアの映画保存所で確認した際に、この映画の存在が再発見され、後にフィルムが購入されました。現存するフィルムはオリジナル124分中84分に相当しますが、上映可能な部分からでも物語を十分に理解することができます。

主題歌と音楽

映画の主題歌である「新雪」は、作詞が佐伯孝夫、作曲が佐々木俊一によるもので、灰田勝彦が歌い上げた曲です。この楽曲は映画の公開と同時に1942年10月にリリースされ、またたく間にヒットしました。その後も戦後に渡り多くの歌手によってカバーされ続け、NHK紅白歌合戦などでも披露される機会がありました。

さらには、様々なカバーアルバムにも収録され、その人気は今なお続いています。特にカラオケで歌われる機会が多く、灰田勝彦の代表作のひとつとして広く知られています。

テレビドラマ化

『新雪』は、1962年と1966年にもテレビドラマとして放送されました。1962年版は『武田ロマン劇場』で放送され、高野真二や葵京子などが出演しました。1966年版は全18回にわたって放送され、本郷功次郎や藤村志保といった俳優が登場しました。両作品とも視聴者からの高い支持を受けました。

このように『新雪』は、小説、映画、音楽、テレビドラマと多方面にわたる影響を持ち、さまざまな形で人々に親しまれる作品となったのです。

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