方振武

方振武(ほう しんぶ)



方振武は、中華民国の軍人であり、は叔平です。孫文の革命運動に初期から参加し、国民軍、国民革命軍の幹部として北伐などに従軍しました。また、日中戦争期には、抗日運動にも身を投じました。

生涯



安徽武備練軍学堂を卒業後、安徽新軍に入隊します。徐錫麟の安慶起義に参加しましたが失敗し投獄されます。その後、同盟会の支援で出獄し、1911年辛亥革命では、上海光復軍に参加しました。

1912年、南京臨時政府第1軍北伐前哨司令に任じられ、その後、第1軍第3師輜重兵営長を務めます。1913年には、微山湖の緑林の徒であった褚玉璞を迎え入れます。同年、二次革命では輜重兵営長として冷遹の救援に向かいましたが、途中で張宗昌が北洋政府に寝返り、敗北。方振武は冷遹とともに日本へ亡命し、浩然廬に入学しました。

1914年、中華革命党に加入。帰国後、1917年には護法軍政府海軍陸戦隊大隊長に就任し、護法戦争に参加します。1921年には北伐軍大隊長となりますが、陳炯明の反乱で北伐は挫折、一時上海に寓居します。

1924年北京政府側の盧永祥に投じ、浙江督軍署別働隊司令に任じられますが敗北。その後、張宗昌率いる直魯聯軍の先遣第2梯隊司令官となります。この部隊は、李景林に武装解除させられた王承斌の第23師が元となっており、方振武は張宗昌と褚玉璞から支援を受けました。翌1925年には、武装解除された山東陸軍混成第7旅を吸収合併し、第6旅に改編。さらに同年秋、第24師に拡充され師長兼兗州鎮守使に昇進します。

しかし、1926年、部隊を率いて直魯聯軍から離脱、馮玉祥率いる国民軍に転じ、第5軍軍長兼直魯豫辺防剿匪司令に任じられます。同年9月には国民聯軍第2軍軍長、中国国民党国民聯軍最高特別党部執行委員を兼任します。

1927年国民革命軍第2集団軍第3方面軍総指揮兼河南省政府委員に任じられ、武漢国民政府に属し第9方面軍総指揮となります。その後も、国民革命軍第11路総指揮、第1集団軍第4軍団総指揮、済南衛戍司令、左路軍総指揮などを歴任し、北伐に従軍しました。

北伐後、方振武は第45師師長に任じられ、1929年3月には国民党中央執行委員に選出されました。しかし、蔣介石との対立が深まり、同年9月には逮捕され、湯山陸軍監獄に収監されます。1930年には党籍剥奪1年の処分を受けました。

1931年、処分が解除され、党中央執行委員として復帰しましたが、再び馮玉祥との連携を強めます。1933年、晋南で抗日救国軍を組織し、総指揮として北上抗日を呼びかけます。同年5月には、馮玉祥、吉鴻昌らと共に察哈爾民衆抗日同盟軍に参加し、副総司令、兼北路前敵総司令を務めました。しかし、蔣介石の圧力などにより抗日同盟軍は解散に追い込まれ、方振武は香港へ逃れました。香港では、中華民族解放行動委員会に加わり、1938年3月に中央委員に選出されました。

1941年12月、日本軍による香港占領に伴い逃走しましたが、その途中の広東省中山県で何者かにより暗殺されました。享年60。暗殺を実行したのは青幇系の特務組織「忠義救国軍」とされています。

方振武は、激動の時代を駆け抜けた軍人であり、その生涯は中国近現代史の縮図とも言えるでしょう。彼の足跡は、今もなお多くの人々に語り継がれています。



本記事は、以下の文献を参考に作成されました。

徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。
王新生ほか主編『中国軍閥史詞典』国防大学出版社、1992年。ISBN 7-5626-0244-1。
* 楊保森『西北軍人物志』中国文史出版社、2001年。ISBN 9787503453564。

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