旅人 (美空ひばりの曲)

美空ひばり『旅人』

『旅人』は、1971年10月10日に日本コロムビアから発売された美空ひばりのシングルです。このシングルは、彼女の芸能生活25周年を記念した楽曲『おんな道』と同時発売されました。

概要

A面の『旅人』は、阿久悠が作詞を手がけた作品で、同年の『それでも私は生きている』に続く阿久作品です。曲中には、伊集加代子のスキャットが挿入されています。当時、阿久悠は尾崎紀世彦の『また逢う日まで』でレコード大賞を受賞したばかりでしたが、この時点ではまだ美空ひばりと直接会ったことはありませんでした。

阿久悠は、ひばりと同世代ではあるものの、少年時代から天才少女歌手として活躍するひばりを強く意識し、畏敬の念を抱いていました。彼は自ら定めた「作詞家憲法」の第一条で、「美空ひばりによって完成したと思える流行歌の本道と、違う道はないものであろうか。」と記すほど、ひばりの楽曲とは異なる方向性を模索していました。この「作詞家憲法」は、阿久悠の母校である明治大学駿河台キャンパス内の「阿久悠記念館」に展示されています。

B面の『北国の子守唄』は、コロムビアのひばり担当ディレクターであった森啓が、流氷を見学したことがきっかけで制作されました。森は、特に理由もなく流氷を見たくなり、上司に流氷見学のための出張を願い出たところ、意外にも許可が下り、北海道へ行くことになりました。幸運にも流氷を見ることができた森が帰社し、上司に報告したところ、「流氷を見てきて、作品のほうはどうなってる？」と催促されました。そこで急遽、吉岡治に流氷をテーマにした作品を依頼しました。吉岡は、森の説明を聞いて「ディレクターだけが見てきてどうなるんだ。俺だって見たかった！」と不満を漏らしつつも、その話をもとに詩を書き上げ、船村徹が作曲、木村好夫のギター演奏が加わって完成しました。

収録曲

1. 旅人
作詞：阿久悠、作曲：村井邦彦、編曲：馬飼野俊一
2. 北国の子守唄
作詞：吉岡オサム、作曲・編曲：船村徹

アルバム収録

『旅人』は、1972年12月25日に発売されたアルバム『美空ひばり ある女の詩』にも収録されています。

ある女の詩
鏡
ふるさとの駅
あの子の手紙
ある母に送る手紙〜青葉の笛（文部省唱歌）入り〜
母
思い出の鞄
急行青森行き
旅人
新しい笛
ひばり仁義
浪曲渡り鳥

関連事項

* 1971年の音楽

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