旅行者下痢

旅行者下痢：原因、予防、治療

旅行者下痢、別名渡航者下痢は、海外旅行中に、または帰国後10日以内に、1日に3回以上の下痢に見舞われる症状です。旅行先の水や食べ物、あるいはストレスなどが原因で起こる場合がありますが、多くの場合、感染性病原体が原因です。

旅行者下痢の原因

旅行者下痢の原因は大きく分けて2つあります。一つは非病原性要因、もう一つは病原性要因です。

非病原性要因

非病原性要因とは、感染症ではない原因による下痢です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

水の質: 日本では軟水が一般的ですが、海外では硬水の地域も多く、ミネラル分の違いが腸を刺激し、下痢を引き起こすことがあります。
油や香辛料: 油脂の変質や香辛料の過剰摂取は、腸への刺激となり下痢を誘発する可能性があります。
環境の変化: 旅行中のストレス、時差ボケ、生活習慣の変化は、腸の働きに影響し、下痢の原因となります。
薬剤: 抗生物質などの服用は腸内細菌叢のバランスを崩し、下痢を起こしやすくなります。
腐敗した食べ物: 腐敗や傷んだ食べ物は食中毒の原因となり、下痢を引き起こす可能性があります。

病原性要因

病原性要因とは、細菌、ウイルス、原虫、寄生虫などの感染によって起こる下痢です。旅行者下痢の約30%は、サルモネラ菌、病原性大腸菌(ETEC)、プレシオモナス・シゲロイデス、腸炎ビブリオ、赤痢菌、コレラ菌などの感染が原因であると報告されています。その他にも、セレウス菌、A型[[肝炎]]ウイルス、E型[[肝炎]]ウイルス、赤痢アメーバ、パラチフスA、ノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクターなどが原因となる場合があります。

旅行者下痢の予防

旅行者下痢を防ぐためには、以下の点に注意することが重要です。

飲食物への注意

街頭販売の飲食物は避けるべきです。
加熱調理され、湯気が出ている熱い料理を選ぶようにしましょう。
皮をむいて食べる果物を選びましょう。
密封されたボトルに入った水を飲みましょう。
生水や水道水は飲まないようにしましょう。
* 食品の衛生状態に注意しましょう。

予防接種

旅行先の地域で特定の感染症が流行している場合は、該当するワクチンの接種を検討しましょう。しかし、抗生物質の予防投与は推奨されません。

旅行者下痢の治療

下痢の症状が続く場合は、医療機関を受診することが重要です。特に、激しい下痢、頻回の下痢、血便、高熱などの症状がある場合は、すぐに医師に相談しましょう。

脱水症状を防ぐために、十分な水分補給を行いましょう。経口補水液も有効です。医師の指示に従って治療を行いましょう。

まとめ

旅行者下痢は、旅行先での不快な経験となる可能性があります。しかし、適切な予防策と早期の対処で、そのリスクを軽減することができます。旅行前に十分な情報を集め、安全で楽しい旅行を計画しましょう。

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