日原利国

日原利国（ひばら としくに）は、昭和期の中国哲学者として知られています。1927年に山梨県で生まれ、1984年に56歳という若さで亡くなりました。

学歴と職歴

日原は京都帝国大学（現在の京都大学）文学部で中国哲学を専攻し、卒業後も大学院に進んで研究を続けました。大学院では博士課程を満期修了退学しています。その後、愛知学芸大学（現在の愛知教育大学）で講師、助教授として教鞭を執り、1971年には大阪大学文学部の助教授に就任しました。1973年には教授に昇進し、大阪大学で長年にわたり研究と教育に尽力しました。大阪大学には学位論文『春秋公羊伝の研究』を提出し、文学博士号を取得しています。

1983年、日原は大阪大学教授と兼任する形で、母校である京都大学文学部の教授にも就任しました。しかし、京大教授としての在任期間は一年弱と短く、1984年に急逝しました。

研究内容と著作

日原利国の研究は、中国哲学、特に春秋学の分野で高く評価されています。学位論文である『春秋公羊伝の研究』は、春秋公羊伝の解釈における重要な業績として知られています。また、中国古典の翻訳にも力を入れ、多くの古典を現代日本語に翻訳・紹介しました。

主な著作としては、以下が挙げられます。

『世界文学全集 3 春秋公羊伝』（筑摩書房, 1970） - 翻訳
『中国古典文学大系 3巻 荀子』（平凡社, 1970） - 竹岡八雄と共訳
『世界古典文学全集 18 孟子』（筑摩書房, 1971） - 湯浅幸孫、加地伸行と共訳
『春秋繁露』（明徳出版社「中国古典新書」, 1977） - 編著
* 『中国書論大系 第5・6巻 (宋 Ⅱ-Ⅲ) 宣和書譜』（二玄社, 1978） - 訳

また、徂徠物茂卿『定本明律国字解 律例対照』(創文社 1966)では内田智雄と共校訂を務めるなど、幅広い分野で活躍しました。

日原利国の業績は、中国哲学研究における重要な貢献として、今日でも高く評価されています。

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