日和山 (仙台市)

日和山（ひよりやま）

宮城県仙台市宮城野区蒲生にある標高3mの山、日和山。この山は、ただ低いだけでなく、その歴史と地域の人々の想いが詰まった特別な場所です。

概要

日和山は、仙台市北東部の仙台湾に面した場所に位置し、七北田川河口の北側、蒲生干潟の西にあります。かつては標高6.05mあり、山頂からは海を望むことができ、初日の出の名所としても親しまれていました。14段の階段がある登山道も整備され、地域住民の憩いの場となっていました。

一時、国土地理院の地形図に記載されている山として日本一低い山と認定されましたが、大阪市の天保山が再掲載されたため、その地位を譲りました。そのため、山頂の案内看板には「元祖」の文字が書き加えられました。

2011年の東日本大震災では、地盤沈下と津波により蒲生干潟と共に消滅。川口神社も流失しました。しかし、地元住民が砂利を積み上げ、2014年4月には再び標高3mの山として認定され、「日本一低い山」に返り咲きました。同年7月には地元有志による「山開き」も行われました。

現在では、周辺の蒲生干潟やなかの伝承の丘と共に、仙台市の「杜の都・仙台 令和版 わがまち緑の名所100選」に選ばれています。

歴史

日和山の歴史は、江戸時代にまで遡ります。この地域は、当時、流通拠点として賑わっていましたが、鉄道の普及とともに衰退。明治時代には、漁師が出漁の際に天候を予測するために、この山が築かれました。

高度経済成長期には、北側に仙台港が建設され、地域の様子は大きく変化。日和山は、漁師の利用は減ったものの、釣りやサーフィン、バードウォッチングなどで訪れる人々の憩いの場となりました。

年表

江戸時代：七北田川の河口が変更され、仙台城下町と外港を結ぶ運河と物流ルートが整備される。蒲生は重要な流通拠点となる。
1871年：廃藩置県により、蒲生の年貢米流通拠点としての地位が失われる。舟運も衰退。
1875年：蒲生に荷物請負問屋が開設され、塩竈から仙台への流通ルートが復活。
1882年：蒲生から仙台を結ぶ木道が敷設。
1886年：塩竈で虎列刺病が蔓延し、蒲生が仙台の外港として活用。
1887年：鉄道が開通し、蒲生の流通拠点としての地位が低下。木道も廃止。
1890年：海面使用が許可制となり、沿岸漁業が発展。
1909年頃：地元住民により日和山が築かれる。
1913年,1919年：地元住民が日和山に土盛りを実施。
1967年：日和山の隣接地で仙台港の建設工事開始。
1971年：仙台港が開港。
1972年：日和山が鳥類観測ステーションに指定される。
1992年：国土地理院の調査で日和山が日本最低峰と認定される。
1993年：地形図から天保山の山名が抹消され、日和山が日本最低峰となる。
1996年：天保山の山名が再掲載され、日和山は「元祖 日本一低い山」となる。
2006年：日和山の登頂認定証の発行が開始。
2011年：東日本大震災の津波により山体が消滅。
2014年：国土地理院の調査で再び標高3mの山として認定され、「日本一低い山」に返り咲く。地元有志による山開きが開催。

周辺情報

蒲生干潟
仙台港
貞山運河
仙台乗馬倶楽部
丸新養魚場

アクセス

バス: 仙台駅西口バスのりば50番ポールより蒲生（中野新町）行きに乗車し、「中野新町」下車。
自動車:
仙台東部道路 仙台港ICから3.8 km
仙台東部道路 仙台港北ICから5.1 km
仙台東部道路 仙台東ICから6.5 km

駐車場

登山道前に無料駐車場（10-20台駐車可）がありますが、町内会の共有地であり、一時閉鎖されたことがあります。

まとめ

日和山は、単に標高が低いだけでなく、地域の歴史と人々の復興への想いが込められた特別な山です。訪れる人々は、その歴史を感じながら、穏やかな時間を過ごすことができるでしょう。

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