日宮城

日宮城について

日宮城（ひのみやじょう）は富山県射水市に存在した日本の山城です。この城は火宮城、二上山城、橋下条城とも呼ばれ、射水市の指定史跡として重要視されています。また、とやま城郭カードの番号27に記載されています。

城の規模と構造

日宮城は、笹山全体を利用した一城別郭方式の小規模な山城です。特に主郭は北東の丘陵に位置し、標高は約20メートルです。しかし、南と南西にある郭も同じくらいの規模を持ち、南西の郭（現在の「日宮社」）が主郭とされることもあります。しかし、ここには手が加えられた跡が少なく、独立した丘陵として存在するため、主郭とするには疑問が残ります。

北東の主郭は、土塁や堀切を巧みに配置し、複雑な構造となっています。一方、南の郭は他の郭よりも緩やかな丘陵上に作られ、平坦な面が広がるのが特徴です。さらに、竪堀も設置されています。南西の郭は傾斜がきつく、二段に分かれていますが、平坦面は少なく、土塁や堀切といった防御設備はほとんど見当たりません。また、主郭の東側には「二の丸」とされる郭が存在しますが、周囲の道路整備によって大幅に削られている状態です。

歴史的背景

日宮城の築城年代は不明ですが、戦国時代には神保氏の当主である神保長職がこの城を拠点として使用していました。長職は1562年に越中国の増山城に移る前、この城を利用していたと言われています。その後、日宮城は越中国の支城として機能し、神保源七郎などが城主として名を残しています。

神保氏は、長職の代に急速に勢力を拡大しました。1543年には富山城を築城し、椎名氏との領土争奪戦に巻き込まれます。この情勢は、越後国の守護代である長尾氏にも影響を及ぼし、1560年には上杉謙信が越中へ進軍する事態となりました。その際、日宮城も落城し、長職は一時姿を消さざるを得ませんでした。

その後、長職は力を取り戻しますが、武田信玄と組んだ椎名氏や上杉氏、一向一揆勢に対する苦戦が続きました。長職の死後、家臣たちは上杉氏の家臣となり、神保氏は次第に衰退していくことになります。

日宮城の終焉

1572年、武田信玄の調略を受けた一向一揆が日宮城を攻撃します。守将であった神保覚広は、越中国の新庄城主に援軍を要請しましたが、援軍は到着する前に敗北を喫します。そのため守将たちは開城し、一揆勢と和議を結び逃げることとなります。これにより一揆勢は越中国を制圧することとなり、日宮城も歴史の表舞台から姿を消しました。

現在の状況

現在、日宮城跡には神保家にゆかりのある薬勝寺や日宮社があります。最低限の整備が行われ、小さな案内板が設置されているほか、城の痕跡も見受けられます。ただし、私有地となっているため、立ち入ることは制限されています。

このように日宮城は、歴史的な背景を持つ文化遺産として、射水市における重要な存在であり続けています。

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