日本とスロベニアの関係

日本とスロベニアは、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で友好的な関係を築いています。この記事では、両国間の歴史的背景、外交関係の進展、経済協力、そして活発な文化交流について詳しく解説します。

両国の比較

スロベニアは、ヨーロッパ中部に位置する小国であり、豊かな自然と歴史的な文化遺産を有しています。一方、日本は東アジアに位置する島国であり、独自の文化と高い技術力を持っています。両国は地理的に離れていますが、相互に関心を持ち、様々な交流を通じて関係を深めてきました。

歴史

スロベニア前史

6世紀ごろ、南スラブ人がこの地に定住しました。14世紀ごろには神聖ローマ帝国に組み込まれ、カトリック教会の影響を強く受けることになります。この影響により、スロベニアは他のスラブ圏とは異なる独自の文化を形成し、現在のスロベニアの基盤が築かれました。

15世紀にはハプスブルク家の所領となり、オーストリア公国、オーストリア大公国、オーストリア帝国、オーストリア＝ハンガリー帝国へと変遷を遂げます。第一次世界大戦でオーストリア＝ハンガリー帝国が解体されると、スロベニアはセルビア主導の汎スラブ主義に基づき、スロベニア人、クロアチア人、セルビア人による国家に参加し、後にユーゴスラビアへと発展します。

1991年、スロベニアはユーゴスラビアから離脱を宣言し、ユーゴスラビア紛争のきっかけとなりました。この独立は、スロベニアの歴史において重要な転換点となりました。

外交史

戦間期から1990年代初頭にかけて、スロベニアはユーゴスラビア社会主義連邦共和国の一部であり、日本との交流はユーゴスラビアを介して行われていました。1991年6月、スロベニアはユーゴスラビアからの独立を宣言し、日本は1992年3月17日にスロベニアを国家として承認しました。同年10月12日には外交関係が開設されました。

スロベニアが独立と同時に資本主義に転換したため、両国間には友好的な関係が築かれました。1993年7月より、在オーストリア日本国大使館がスロベニアを兼轄していましたが、在留邦人の増加と交流の深化に伴い、2006年1月に在スロベニア日本国大使館が開設されました。一方、スロベニアは外交関係樹立後すぐに東京に在日スロベニア大使館を設置し、1995年12月に初代大使が信任状を捧呈しました。

外交関係

両国間には大きな懸案事項はなく、友好関係が強化されています。1996年には日本で日本・スロベニア友好議員連盟が発足し、スロベニアでは1995年にスロベニア・日本友好議員連盟が結成されました。スロベニアは北大西洋条約機構（NATO）の加盟国であり、日本はアメリカ合衆国との同盟を通じてNATOのグローバル・パートナーシップ国となっているため、安全保障面でも協力関係にあります。

2012年には両国外交関係樹立20周年を迎え、2017年には25周年を記念して、両国首脳と外務大臣が祝賀メッセージを交換しました。2013年には、スロベニアの大統領として初めてボルト・パホルが訪日し、安倍晋三総理大臣と会談を行いました。この会談では、両国間の経済協力やバルカン半島の平和維持について意見交換が行われました。2019年には、ボルト・パホル大統領が再び訪日し、即位礼正殿の儀に参列し、二度目の会談を行いました。

スロベニア首相としては、2008年にヤネス・ヤンシャが初訪日し、福田康夫総理大臣と会談しました。その後も、2014年と2016年に首脳会談が実施され、安保理改革や日本の常任理事国入りについてスロベニアが賛成の意を表明するなど、両国間の協力関係が深まっています。

日本からは、2019年8月に河野太郎外務大臣がスロベニアを訪問し、ボルト・パホル大統領と会談し、両国の友好関係を確認しました。

経済交流

ユーゴスラビアからの独立当初、日本はスロベニアに対して開発援助を実施しました。しかし、スロベニアは旧ユーゴスラビアの中で工業化が進んでいた地域であり、順調に独立を達成したため、経済成長を遂げました。2010年には経済協力開発機構（OECD）に加盟し、先進国として認められるようになりました。そのため、日本はスロベニアがEUに加盟した2004年末に開発援助を終了しました。

2010年代以降は対等な経済関係を築いており、2014年には日本スロヴェニアビジネス協会が発足しました。スロベニア政府は日本を「優先市場」の一つと指定し、両国間の経済関係強化に力を入れています。日本企業によるスロベニアへの投資も増加しており、安川電機や関西ペイント、住友ゴム工業などが進出しています。貿易関係では、2017年の時点で日本は対スロベニア貿易で赤字となっていますが、両国ともに輸送機器や電気機器などを輸出しています。

文化交流

1995年にリュブリャナ大学に日本語コースが開設され、1996年からは国費留学生の受け入れも開始されています。スロベニアでは日本文化への関心が高まっており、在日スロベニア大使館が主体となって日本文化イベントが開催されています。また、若者の間では日本のアニメや漫画といったポップカルチャーも浸透しています。

スポーツ面では、スロベニア出身のサッカー選手がJリーグで活躍しており、両国間の交流を促進しています。

新潟県妙高市はスロベニアのスロベン・グラデッツ市と姉妹都市協定を結んでおり、高校生の訪問団が交流を続けています。2020年東京オリンピックでは、妙高市がスロベニアのホストタウンになるなど、文化交流はさらに活発化しています。

外交使節

駐スロベニア日本大使として、2023年より吉田晶子が着任しています。

まとめ

日本とスロベニアは、歴史的なつながりは浅いものの、独立以降、政治、経済、文化など幅広い分野で友好的な関係を築いています。両国間の交流は今後ますます活発化していくことが期待されます。

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