日本とチベットの関係

日本とチベットの関係

日本とチベットの関係は、19世紀末に日本人がチベットに足を踏み入れたことに始まります。当時、チベットは清朝の支配下にあり、外国人の立ち入りが厳しく制限されていました。しかし、探検家や僧侶たちは困難を乗り越え、チベットへの道を切り開きました。

初期の交流

1899年、能海寛と寺本婉雅は、ダライ・ラマの直轄地であるバタン（現在の中国四川省カンゼ・チベット族自治州）に到達を試みましたが、チベットへの入域は果たせませんでした。翌1900年には、河口慧海がネパールからチベットに入り、翌年3月にラサに到達。記録上、彼が初めてチベット入りした日本人とされています。河口慧海は帰国後、1904年に『西蔵旅行記』を著し、チベットの情報を日本に伝えました。その後、1901年には成田安輝がシッキムから、1910年には矢島保治郎が四川省からチベットに到達しました。

1908年8月には、西本願寺の大谷尊由がダライ・ラマ13世と会見し、ダライ・ラマ13世は北京の日本帝国公使館に一週間滞在しました。同年、ダライ・ラマの使節を日本に派遣する計画は頓挫しましたが、1911年には3人の高僧が留学生として日本に派遣され、その世話役は後にチベット入りする多田等観が務めました。

チベットの独立と日本の関与

1912年、チベットは一時的に独立を宣言しました。チベット研究者の青木文教の著書によれば、この頃、チベット軍の司令官と青木が協力して、チベットのシンボル（雪山、唐獅子、日、月）と日本の旭日旗を組み合わせたデザインを考案し、それが新しい軍旗として採用されたとされています。この軍旗は、後にチベット政府ガンデンポタンによって国旗として採用されました。

第二次世界大戦とその後

日中戦争や第二次世界大戦中、チベットは日本に同情的な立場を取り、連合国による中華民国への武器輸送を拒否し、中立を維持しました。1939年には、野本甚蔵が1年半にわたりチベットで情報収集活動を行いました。

第二次世界大戦後、日本は1945年に敗戦し、1952年にサンフランシスコ平和条約によって主権を回復しました。一方、チベットは1951年までに中華人民共和国の支配下に入り、1959年にはダライ・ラマ14世がインドに亡命し、チベット亡命政府を樹立しました。

現代の関係

1972年に日本と中華人民共和国が国交を樹立して以降、日本とチベットの関係は、公式には中国政府を介して行われています。日本政府は「一つの中国」政策を尊重し、チベットの独立を認めていません。しかし、1976年にはチベット亡命政府の代表機関であるダライ・ラマ法王日本代表部事務所が設立され、チベットの文化や人権問題に対する関心は日本国内にも存在します。また、近年では、日本の国会議員らがチベット問題を考える議員連盟を結成し、2008年の北京オリンピックでチベット問題が国際的な注目を集めた際には、日本でも一定の関心が集まりました。

関連項目

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
日中関係史

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