日本とマレーシアの関係

日本とマレーシアの二国間関係は、15世紀のマラッカ王国と琉球王国の交易にまで遡ります。この交流は、20世紀に大日本帝国の台頭と第二次世界大戦による日本のマレー半島侵攻という歴史的な転換期を迎えるまで、良好な関係を維持していました。現在、日本はクアラルンプールに大使館を、マレーシアは東京の渋谷に大使館を設置し、両国間の外交関係を円滑に進めています。

歴史

海洋交易

15世紀、琉球王国とマラッカ王国の間では活発な海洋交易が行われていました。東南アジアの王国は、日本から銀、刀、扇子、漆器、屏風などを輸入し、中国からは漢方薬、硬貨、陶器、絹織物などを輸入していました。また、東南アジアからは、スオウ、サイの象牙、錫、砂糖、鉄、龍涎香、インド象の象牙、アラビアの乳香などが取引されていました。琉球王国の外交記録である『歴代宝案』には、1424年から1630年の間に東南アジアの王国との間で150回もの公式な船の往来があったと記録されています。そのうち、シャムへが61回、マラッカへが10回、パタニへが10回、ジャワへが8回でした。

第二次世界大戦

1941年12月8日、日本軍はマレー作戦を開始し、英領マラヤに侵攻しました。これにより、連合国軍は圧倒され、日本による占領が始まりました。占領期において、日本軍による中国系住民への差別や弾圧が行われたため、中国系住民の間では反日感情が高まり、マラヤ人民抗日軍の勢力拡大につながりました。ヌグリ・スンビラン州では特に弾圧が激しく、日本軍によって村ごと消滅させられた地域も存在します。スレンバン出身の荘発盛氏（尚美学園大学准教授）は、同州で起きた虐殺事件を今でも許すことができないと語っています。

一方、日本軍は「アジア人のためのアジア」というスローガンを掲げ、イギリスからの解放者として宣伝活動を展開しましたが、マレー系やインド系住民からの十分な支持は得られませんでした。しかし、現地の人々は、東南アジアでヨーロッパの植民地主義者が日本に敗走する姿を見て、独立への期待を抱きました。マレー青年団は、日本軍とともにイギリスの植民地主義に反対する活動を行いました。しかし、日本の当局は、現地の人々の独立要求を受け入れませんでした。その後、日本の戦況が悪化し、第二次世界大戦が終結すると、イギリスは北ボルネオとともに、マラヤとシンガポールを取り戻しました。

敗戦後、占領された日本は近隣諸国との国交回復を模索し、1957年8月31日にマレーシアがイギリスから独立すると、日本はマレーシアと国交を樹立しました。1957年9月9日には、日本はクアラルンプールに大使館を設置しました。

第二次世界大戦中の日本に対する現代マレーシア人の評価

2008年に外務省がASEAN主要6か国に対して行った世論調査では、第二次世界大戦中の日本について、「良い印象を持っている」と回答した人が多かったものの、「悪い印象を持っている」と答えた人も一定数いました。

ルック・イースト政策

「ルック・イースト政策（東方政策）」は、1982年2月8日に当時のマレーシア首相マハティール・ビン・モハマドによって提唱された経済政策です。この政策は、日本を東洋の大国と見なし、西洋の先進国よりも日本の勤労倫理や政策、産業技術などを模範とすることを目的としていました。多くの学生や公務員が日本へ留学し、産業、技術、行政などの分野で学びました。この政策により、約15,000人のマレーシア人が恩恵を受けたとされています。現在、マレーシア政府は、環境技術や生物工学などを含めるように政策の範囲を広げることを検討しています。

マレーシア人の対日・対日本人感情

各種調査によると、マレーシア人の対日感情は非常に好意的です。2013年の調査では、対日感情が最も好意的だった国であり、80%の人が日本に対して肯定的な印象を持っていると回答しました。2014年の調査でも、75%の人が日本を「好き」「とても好き」と回答し、中国やアメリカよりも高い好感度を示しました。東南アジア諸国の中では、特にマレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムなどで日本に対する好感度が高い傾向にあります。2016年の外務省の調査でも、東南アジア諸国の国民は、日本との関係についてかなり好意的であることが明らかになりました。

経済的関係

2011年の貿易額は、マレーシアから日本への輸出が800億リンギット、日本からマレーシアへの輸入が653億リンギットで、合計1453億リンギットでした。約1400社の日本企業がマレーシアで活動しており、11,000件以上の雇用を生み出しています。また、日本の液化天然ガスの輸入は34%増加しました。両国間の為替レートは2007年以前は赤字でしたが、近年は改善しています。

ハラール産業では、マレーシア政府のハラール認証を受けた企業のみが日本市場に参入できます。日本のハラールパークも、ハラール制度に配慮した設計がなされています。マレーシアは、日本人にとって人気の観光地であり、長期滞在先としても世界で最も人気のある国の一つです。近年は、マレーシアから日本への観光客も増加しています。

公式訪問

日本とマレーシアの政府要人は、相互に数多くの公式訪問を行っています。1964年には、第3代国王サイド・プトラが来日し、昭和天皇と会見しました。2005年には、第12代マレーシア国王が日本を訪問し、2006年には天皇皇后両陛下がマレーシアを訪問されています。

日本とマレーシアは、東アジアサミット、アジア太平洋経済協力（APEC）、ASEAN+3、世界貿易機関（WTO）の加盟国であり、国際社会においても協力関係を築いています。

外交使節

在マレーシア日本大使館
駐日マレーシア大使館（住所：東京都渋谷区南平台町20-16）

駐日マレーシア大使（過去の主な大使）

リー・チャン・ケン（1958～1961年）
シャイ・シェー・シャハブディン（1961～1964年）
プトラ・イブニ・アルマルム・スルタン・イブラヒム（1964～1967年）
ザイトン・ビン・イブラヒム（1967～1968年）
フセイン・モハメド・オスマン（1969～1972年）
Raja Tan Sri Aznam Raja Ahmad（1972～1974年）
リム・テック・チューン（1974～1981年、信任状捧呈は10月17日）
ジャマルディン・アブ・バカル（1981～1986年）
アフマド・カミル・ジャアファル（1986～1989年）
Muhammad Khatib Abdul Hamid（1989～1999年、信任状捧呈は7月4日）
マルズキ・モハマド・ノール（1999～2006年、信任状捧呈は9月20日）
モハメッド・ラジィ・アブドゥル・ラーマン（2006～2009年、信任状捧呈は10月25日）
シャハルディン・ビン・モハマッド・ソム（2009～2014年、信任状捧呈は2010年1月13日）
アハマッド・イズラン・ビン・イドゥリス（2015～2018年、信任状捧呈は4月15日）
（臨時代理大使）ファドリ・ビン・アディラ（2018～2019年）
ダト・ケネディ・ジャワン（2019～2021年、信任状捧呈は4月5日）
（臨時代理大使）ノル・アザム・ビン・モハマド・イドルス（2021～2022年）
シャフリル・エフェンディ・アブドゥル・ガニー（2022年～、信任状捧呈は12月26日）

外部リンク

在マレーシア日本国大使館
駐日マレーシア大使館（英語）

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