日本の国璽

日本の国璽

日本の国璽（にほんのこくじ）は、正式に日本国の公的な印章として使用される金印です。この印章には、篆書体で「大日本國璽」と刻まれており、印文は縦書きで右側に「大日本」、左側に「國璽」となっています。国璽は約8.79センチ四方で、重さは約3.50キログラムです。国璽を使用する際は、専用の朱肉が用いられ、正確な印影を確保するために特別な道具が使用されます。

歴史的背景

日本の国璽の歴史は、明治維新以前にさかのぼります。明治維新以前は、天皇の印である「内印」や、太政官の印である「外印」が存在していましたが、国璽と呼ばれる印はまだ存在しませんでした。日本の外交文書には銀印や大型の印章が使われており、これらは徳川幕府の代表性を示すものでした。

明治維新後の1869年8月、官位相当制が導入される際に、初めて国璽の概念が定められました。同年には、伝来の銅印が内印として使用され、勅任官の官記や位記、華族の相続文書に用いられました。しかし、この銅印は印文の不明瞭さから好評を得られず、新たに国璽が必要となりました。

1871年、大蔵卿の伊達宗城が清国に派遣される際、印文の状態に問題があることから、新たな石印を製作するよう命じられましたが、これも質が低いため不評を博しました。結局、1874年には金の素材を用いて現在の国璽が完成しました。「大日本國璽」という印文が刻まれ、これ以降は改刻されていません。

国璽の運用と保管

国璽は、当初宮内省が管理していましたが、後に内大臣府に移され、最終的には宮内庁において保管されています。使用の際は、内廷の侍従職補佐が押印を行います。国璽は、紫と白の袱紗に包まれ、専用ケースに収められて保管されています。印影を押す際には、丁寧に朱肉を使用し、適切な位置に丁寧に押すことが求められています。

日本国憲法においては、国璽は勲章や褒章に関連する文書に押印され、皇位継承儀式など重要な場面でも使用されます。このように、国璽は国家の象徴として重要な役割を果たしており、国の正式な印章としての地位を今でも保持しています。

法制と偽造に関する刑罰

国璽に関連する法律も整備されており、偽造や不正使用に対して厳しい罰則が設けられています。印章偽造の罪や文書偽造の罪として、偽造した場合には、相応の懲役刑が科されることがあります。これらの法律は、国璽の重要性を示すものであり、国家の信頼性や公文書の純正さを維持するために欠かせないものです。

結論

このように、日本の国璽は特別な意味を持ち、歴史的な背景とともに現在も機能しています。宮内庁がその管理を行い、正式な文書に押印されることによって、国家の権威を示しています。国璽は日本の文化遺産であり、その存在は未来へと引き継がれていくことでしょう。

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