日本の神学校一覧

日本の神学校について

日本のキリスト教界には、多様な教派や教育レベルに応じた様々な神学校が存在します。これらの教育機関は、聖職者や伝道者、あるいはキリスト教に関する専門知識を持つ人材を育成することを主な目的としています。それぞれの学校は、設立母体となる教会や教団の伝統、神学的な立場に基づいて教育を行っています。

現在の神学校の分類

現在活動している日本の神学校は、大きくカトリック教会、プロテスタント、正教会の三つの主要な伝統に分けられます。さらに、教育を行う機関の形態によって、大学・大学院、専門学校、各種学校などに分類されます。

カトリック教会

カトリック系の神学校としては、一般的な大学の中に設置されている学部や学科（上智大学神学部、南山大学人文学部キリスト教学科など）があります。これらは主に特定の修道会と連携しています。

また、各司教区や修道会、宣教会が独自の司祭や修道者養成のために設立した神学院も多数存在します。例えば、日本カトリック神学院、長崎カトリック神学院、聖アントニオ神学院、神言神学院、国際宣教神学院などがその例です。これらの多くは、聖職者を志す学生に特化した教育プログラムを提供しています。

信徒向けの生涯学習や公開講座として、上智大学などが実施しているプログラムもあります。

プロテスタント

日本の神学校の多くはプロテスタント系に属し、その神学的立場や教派は非常に多様です。教育機関の形態も多岐にわたります。

四年制大学や大学院レベルの教育機関としては、日本基督教団立の東京神学大学、日本基督教団の認可を受けている同志社大学神学部や関西学院大学神学部、特定の教団が運営する西南学院大学神学部（日本バプテスト連盟）、東京基督教大学神学部（福音主義超教派）、ルーテル学院大学（日本福音ルーテル教会など）などがあります。

専門学校や各種学校、文部科学省所管外の教育機関も豊富に存在します。これらは特定の教団が運営するものから、超教派で幅広い学生を受け入れるものまで様々です。多くの学校で、牧師・伝道者養成のための実践的な訓練や、信徒向けの聖書教育が行われています。通学制に加えて、通信講座やインターネットを利用した学習プログラムを提供している学校も少なくありません。

海外の神学大学院の日本校として、学位取得を目的とした教育を提供する機関もあります。

正教会

日本ハリストス正教会は、東京正教神学院を運営しており、正教会の伝統に基づいた司祭の養成を行っています。

その他

上記の主要な分類に加え、バプテスト系諸派の学校や、特定の単立宗教法人が設置した神学教育機関も存在します。一部には、主要なキリスト教教派から見解が異なる特定の団体の教育機関も含まれることがあります。

廃止された神学校の歴史

日本の神学校は、近代以降、社会情勢の変化と共に数多くの変遷を遂げてきました。明治初期に外国宣教師が開設した私塾が起源とされています。

戦前には、様々な教派や団体が個別に神学校を設立しましたが、関東大震災による被災や、太平洋戦争下の戦時体制による宗教団体法の施行などが影響し、多くの学校が統合や閉鎖に追い込まれました。特に1943年には、日本基督教団の成立に伴い、主要なプロテスタント系神学校が大規模な統合を経て、日本東部神学校、日本西部神学校、日本女子神学校の三つが設立されました。これらの統合された学校は、戦後、日本基督教神学専門学校を経て、現在の東京神学大学の母体の一つとなりました。

戦後も、神学校の廃止は続きました。1960年代後半の大学紛争時には、学生運動の影響を受けて閉鎖された大学神学部がありました。また、教団・法人の再編や、少子化、神学生の減少など、様々な理由により募集停止や閉校となった神学校も少なくありません。

これらの歴史は、日本のキリスト教界が時代の荒波の中で、神学教育のあり方を模索し続けてきた軌跡を示しています。現代の日本の神学校は、こうした歴史を受け継ぎながら、多様化する社会の中で求められるキリスト教の働き手育成に取り組んでいます。

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