日本バプテスト連盟

日本バプテスト連盟：歴史、活動、そして現代における役割

日本バプテスト連盟は、日本のバプテスト教会が協力して伝道に取り組むために1947年に結成された組織です。本部を埼玉県さいたま市に置き、全国に325の加盟教会・伝道所を有しています。この連盟は、個々の教会の自立性を尊重しつつ、「協力伝道」という形で一致した活動を推進している点が特徴です。日本キリスト教協議会（NCC-J）にも加盟しており、キリスト教の教派の中でも伝道活動に特に熱心な教派として知られています。

歴史的背景

その起源は、アメリカ合衆国の南部バプテスト連盟が第二次世界大戦以前に九州地方を中心に伝道活動を行っていたことに遡ります。戦後、全国への開拓伝道を開始し、現在では東日本にも多くの加盟教会を持つに至っています。特に阪神淡路大震災の際には、甚大な被害を受けた諸教会を支援するために現地支援委員会を立ち上げ、7年間にわたる長期的な支援活動を展開しました。

出版活動

機関誌として月刊誌『バプテスト』を発行しています。また、教会教育のための教案誌『聖書教育』を年間4冊発行し、2003年には独自の讃美歌集『新生讃美歌』を発行するなど、出版活動も活発に行っています。

特徴

日本バプテスト連盟は、リベラルな傾向を持ち、「世」と「教会」の二元論化や信仰の内面化に批判的な立場を取ります。現代世界に対するキリスト者や教会の責任、社会的使命を重視する姿勢を明確にしています。近年では、米国南部バプテスト連盟の保守化が進む中で、ジミー・カーター元大統領が名を連ねるCooperative Baptist Fellowship（CBF）との連携を強化する動きも見られます。

多様な活動

加盟教会では、「生の全領域」でイエス・キリストを証しする生活を目指し、「全年齢層の教会学校」を重視しています。子どもの聖書学習から青年・成人による共同学習まで、幅広い世代に向けた教育プログラムを提供しています。また、靖国神社問題、部落問題、日韓・在日連帯、公害問題、ホームレス、性差別問題、「障害」者問題など、現代社会が抱える様々な課題に対して、特別委員会を通じて支援活動を展開しています。2002年には「平和に関する信仰的宣言」を採択し、平和運動への取り組みも積極的に行っています。

東日本大震災への対応

2011年の東日本大震災発生時には、直ちに災害対策本部を立ち上げ、緊急救援物資の輸送や被災地支援を行いました。世界バプテスト連盟の緊急救援チーム（BWAid）と連携し、被災者のニーズに応じた支援活動を展開しました。

関連団体

教育機関として、学校法人西南学院（福岡市）や学校法人西南女学院（北九州市）を運営しています。医療・福祉分野では、財団法人日本バプテスト連盟医療団（京都市）が日本バプテスト病院などを運営し、地域社会に貢献しています。

主要な人物

著名な牧会者としては、平尾バプテスト教会の青野太潮、東八幡バプテスト教会の奥田知志、札幌バプテスト教会の奥村敏夫などがいます。

年表

1889年：米国南部バプテスト連盟が日本での伝道を開始
1947年：日本バプテスト連盟が結成
1953年：法人登記
2003年：『新生讃美歌』を新たに刊行

日本バプテスト連盟は、その長い歴史の中で、日本の社会と文化に深く根ざし、キリスト教信仰に基づく社会貢献活動を積極的に展開しています。現代社会の多様な課題に対し、福音の精神をもって向き合い、平和と正義の実現を目指すその活動は、今後も注目されるでしょう。

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