日本アート・シアター・ギルド公開作品の一覧

日本アート・シアター・ギルド公開作品一覧

この文章は、日本アート・シアター・ギルド（ATG）において公開された映画作品を、日本での公開年月順にまとめた一覧です。ATGが製作もしくは配給に関わった作品を網羅しており、日本の映画史におけるATGの重要な役割を理解する上で貴重な資料となります。

ATGは、1962年の設立以来、商業的な成功よりも芸術性の高い作品を積極的に紹介することで知られていました。そのため、この一覧には、世界的に名高い巨匠の作品から、日本独自の視点を持った監督の作品まで、多様な映画が収録されています。

一覧の特徴:

網羅性: ATGが製作または配給に関わった作品を全て網羅しています。製作と配給のどちらか一方のみ関わった作品も含まれています。
公開年月順: 作品はATGでの公開年月順に並べられており、時代の流れの中でどのような作品が紹介されてきたのかを容易に把握できます。
詳細情報: 各作品には、監督名、製作年、製作国などの基本情報が記載されています。これにより、作品の詳細を簡単に調べることができます。

収録作品例（1962年～1966年）

1962年は、ポーランドの巨匠イエジー・カワレロウィッチ監督の『尼僧ヨアンナ』で幕を開けました。その後、『オルフェの遺言』（ジャン・コクトー監督）、勅使河原宏監督の『おとし穴』など、個性豊かな作品が公開されています。イタリアのネオレアリズモを代表するヴィットリオ・デ・シーカ監督の『ウンベルトD』や、イングマール・ベルイマン監督の『野いちご』といった、現在でも高く評価される名作もこの年に公開されています。

1963年には、フランス・イタリア・日本など複数の国籍の監督によるオムニバス作品『二十歳の恋』が公開されました。また、アニエス・ヴァルダ監督の『5時から7時までのクレオ』や、アンジェイ・ワイダ監督の『夜の終りに』といった、ヌーヴェルヴァーグやポーランド・スクールを代表する作品が公開されています。

1964年は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『女ともだち』や、アラン・レネ監督の『去年マリエンバートで』、そしてイングマール・ベルイマン監督の『鏡の中にある如く』といった、現代映画に多大な影響を与えた作品が公開され、ATGの国際的な視野を示しています。

1965年は、アメリカ独立映画のパイオニアであるジョン・カサヴェテス監督の『アメリカの影』や、フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2|8 1_2』など、話題作が公開されました。

1966年には、日本のATG作品として黒木和雄監督の『とべない沈黙』、そして三島由紀夫監督の『憂国』が公開されました。また、オーソン・ウェルズの代表作『市民ケーン』も紹介されています。

以降も、大島渚、今村昌平、篠田正浩、吉田喜重、実相寺昭雄などの日本を代表する監督たちの作品や、ゴダール、ブレッソンといったフランスのヌーヴェルヴァーグの巨匠たちの作品、そして東欧やその他の国の優れた作品が、年代を追って紹介されています。 特に1970年代以降は、日本のニューシネマの隆盛と重なり、独自の作風を持つ若手監督の作品も数多く公開されました。

この一覧は、単なる作品リストではなく、ATGが培ってきた独自の映画文化、そして日本の映画史においてATGが果たした役割を示す貴重な資料です。 この一覧を通して、ATGが紹介した多様な映画作品に触れ、その歴史と文化的な意義を深く理解することができるでしょう。

参考文献

多賀祥介, 『ATG編集後記 回想の映画人たち』, 平凡社, 1995
佐藤忠男 編, 『ATG映画を読む 60年代に始まった名作のアーカイブ』, フィルムアート社, 1991
佐藤正隆 編集企画, 『ATG映画の全貌 日本映画篇』, 夏書館, 1979
* 佐藤忠男 監修, 『ATG映画の全貌 外国映画篇』, 夏書館, 1980

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