日本共産党特殊財政部

日本共産党特殊財政部（トラック部隊）

日本共産党特殊財政部、通称「トラック部隊」は、1950年代に非合法な活動を行っていた日本共産党の所感派が創設した資金調達のための部署です。この部隊は、戦後の混乱期に、当時のGHQ指令によるレッドパージや公職追放といった影響から、党の組織と財政に深刻な打撃を受けた日本共産党を救うために設立されました。

背景と目的

日本共産党は、戦後の日本における政治的基盤を維持するため、資金を必要としました。「トラック部隊」は、活動資金や軍事資金を獲得するために、さまざまな違法行為を行ったとされています。具体的には、中小企業に対する詐欺、横領、特殊背任、外為法違反など、多岐にわたる犯罪行為によって総額数億円に相当する資金を違法に入手したとされています。警視庁公安部が把握しただけでも、309件に上る検挙事例が存在し、被害総額は約4億円に達すると言われています。

事件の概要

特に注目される事件の一つが、1957年8月22日に実施された「トラック部隊」としての一斉捜索・摘発です。この時、新聞に予告が掲載され、国会でも議題に上りましたが、自由民主党は積極的に議論を進めることはありませんでした。初めて国会に報告されたのは、1957年11月14日の参議院での事例で、当時の警察庁警備部長がトラック部隊による資金収奪の疑惑を報告しました。

事例の調査と議論

さらに1958年の衆議院法務委員会では、共産党の志賀義雄が「トラック部隊事件」に触れ、選挙に向けた不当な検挙を非難しました。また、自由民主党の代議士も関連する企業との結びつきを指摘するものの、具体的な証拠を示すことはありませんでした。

トラック部隊の実態

「トラック部隊」という名称の由来は、軍事物資を不法に運び出して売却していた窃盗団に由来しています。特に、旧佐世保鎮守府関連の施設にトラックで出向き、戦後に取り残された軍需品の転売を行っていました。こうした行為は、当時の中小企業や労働者に直接的な悪影響を及ぼし、党活動に資金を回すための手段でしたが、その全容は未だに解明されていません。

繊研事業部事件との関連

トラック部隊と関連する重要な事例として、1956年の「繊研事業部事件」が挙げられます。この事件は、トラック部隊の行動と結び付けられることが多く、新聞記事や文学作品にも取り上げられています。この事件は、全労連の幹事が経営する企業に対する詐欺行為を含んでいましたが、その詳細は依然として不透明な部分が多いです。

まとめ

「トラック部隊」に関する情報は今でも多くの議論を呼んでおり、組織的な犯罪行為や違法手段で得られた資金の使途など、具体的な資料はほとんど存在しません。日本共産党自体もこの問題に関する詳細な調査や報告を行っておらず、公安当局も国会での議論を脱して、この問題の全貌を明らかにすることはできませんでした。このため、トラック部隊に関する解明は、今後も重要なテーマであり続けるでしょう。

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