日本出版配給

日本出版配給株式会社

概要

日本出版配給株式会社（いわゆる日配）は、太平洋戦争の前後において、日本国内での出版物取次を一手に管理した国営企業です。この会社は1941年に設立され、当初は全国の240社以上の出版物取次業者を統合して、新たな一元的配給機構として機能しました。その資本金は1000万円で、商工省や情報局からの監督を受けながら、出版社が発行する全ての書籍と雑誌の配給を担ったことが特徴です。

本社は東京に位置し、さまざまな支店が設けられました。例えば、大阪、名古屋、九州（福岡市）など国内外にも支店が展開され、外地にも朝鮮と台湾に支店がありました。実際の運営は民間企業のように見えましたが、監督官庁による指導が厳しく、重要な決定については常に承認を得る必要がありました。こうした背景から、日配の業務は国の戦略的な意図に沿ったものであり、言論統制にも寄与しました。

出版物の統制

日本出版配給の設立後、情報局による厳格な指導のもと、文協（日本出版文化協会）が出版社に対する指導を行いました。出版社が出版を計画する際には、発行の承認を受ける必要があり、情報局の検閲を経なければなりませんでした。承認されない場合、必要な印刷用紙の割当を受けられず、結果として多くの出版社が困難な状況に追い込まれました。さらに、発行された書籍には必ず配給元として日本出版配給や出版社の住所が明記されなければならず、これらの規制は言論の自由を制限するものでした。

組織の変遷

1943年、石川武美が社長に就任し、ブランド名は引き続き残りましたが、統制会社としての地位を固めるために1944年には名前を「日本出版配給統制株式会社」に変更されました。戦後の1946年には再度「日本出版配給株式会社」に改称され、商事会社として新たな歩みを始めましたが、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）によって過度経済力集中排除法に基づく指定企業にされるなど、経済的な圧力がかかることになりました。

最終的に1949年、閉鎖機関としての指定を受けて活動が停止し、結果として多くの出版社が閉鎖に追い込まれました。活動停止を受けて、日配を母体としたいくつかの新たな取次会社が設立されました。同年には日本出版販売や東京出版販売などが設立され、これらの中には現在も存在する企業が多くあります。

清算と消滅

1960年には、日配は法的に清算となり、この過程で会社が抹消されることとなりました。日配の活動停止は日本の出版業界に大きな影響を与え、その後の業界は新たな企業によって再編されることとなりました。

支店情報

1942年時点での支店の一覧は以下の通りです：

• - 大阪支店（1941年開設）
• - 名古屋支店（1941年開設）
• - 九州支店（福岡市）
• - 朝鮮支店（京城府：1942年始業）
• - 台湾支店（台北市：1942年始業）

このように、日本出版配給株式会社は、日本国内の出版流通の中心的な存在であり、戦時中から戦後にかけてのメディア統制の一環として重要な役割を果たしました。

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