日本基督教団新潟教会

日本基督教団新潟教会の歩み

日本基督教団に属する新潟教会は、その起源を明治時代初期の新潟におけるキリスト教伝道に遡る、長い歴史を持つ教会です。特に、日本組合基督教会系の伝統を受け継いでいる点が特徴です。

黎明期とパームの働き

教会の歴史は、1874年（明治7年）5月にスコットランドから来日した宣教師T.A.パーム夫妻によって始まります。日本での生活を始めたパームは、長岡藩士であった陶山昶から日本語を学びました。翌1875年（明治8年）1月、パームは生まれて間もない娘、そして相次いで夫人を失うという深い悲しみに見舞われます。この辛い出来事が、当時キリスト教伝道が極めて困難とされていた新潟の地で福音を宣べ伝えるという、彼の固い決意へと繋がりました。

同年4月、パームは聖公会の司祭ジョン・パイパーと共に新潟へ向かいます。新潟に到着したパームは、湊町に診療所を開設し、約8年半にわたり医療活動と並行して伝道に尽力しました。当初、迫害を受けて伝道を断念していた押川方義も通訳としてパームの活動に加わり、本格的な宣教が開始されます。

1876年（明治9年）、吉田亀太郎ら5名が洗礼を受けたことは、新潟における公の集会、すなわち後の新潟教会の始まりを示す画期的な出来事でした。これを機に、新潟だけでなく、佐渡、亀田、水原、葛塚、中条、新発田、沼垂、長岡といった新潟県内の広い地域へと伝道が展開されていきます。パーム、押川、吉田らは、特に新潟、中条、村上など13箇所を定期的に巡回し、精力的に伝道を続けました。その結果、約100名近い信徒が誕生するに至ります。そして1881年（明治14年）、会員数73名をもって教会組織が正式に設立されました。この、パームを中心とした初期の信徒集団は、「パーム・バンド」とも称されています。

後継者と教会分裂

パームは1883年（明治15年）に帰国しますが、彼の要請を受けたアメリカン・ボード（米国組合教会海外伝道局）は、伝道を引き継ぐため宣教師O.H.ギューリックを新潟に派遣しました。翌1884年（明治16年）、ギューリックは大阪の沢山保羅に、パーム病院に入院しながら宣教活動を手伝ってほしいと依頼し、沢山は7月から9月にかけて短期間ながら新潟の伝道に協力しました。

1886年（明治19年）には、沢山保羅は成瀬仁蔵を新潟に派遣します。同年、アメリカン・ボードの支援のもと日本組合基督教会が設立されると、教会は分裂の危機に直面します。アメリカン・ボード系の成瀬仁蔵を支持する一派と、パームおよび押川方義の流れを汲む大和田清晴を支持する一派との間で意見の対立が生じたのです。この分裂により、日本組合基督教会に連なる第一新潟基督教会（現在の日本基督教団新潟教会）と、改革長老系の東中通教会（現在の日本基督教団東中通教会）という、二つの教会が誕生することとなりました。

リバイバルと新たな展開

1889年（明治22年）、長老派系の信徒と会衆派系の信徒の間で続く教会内の対立に苦しむ中、日本組合基督教会伝道委員会から堀貞一が牧師として派遣されてきました。堀貞一は、教会内の紛争の原因が、人間の知恵や計画に頼りすぎている点にあると見抜き、深い祈りへと導かれます。彼は毎朝、裏山の松林にある墓地へ行き、石碑の上にひれ伏して祈りを捧げました。一週間後、「教会内で祈祷会を開くように」という神の導きを感じ、有志と共に連夜の祈祷会を始めます。

この祈祷会には次第に参加者が増え、神の御力が現れるリバイバル（信仰復興）が起こりました。その結果、50名もの人々が洗礼を受け、教会の霊的な力が大きく刷新されました。1891年（明治24年）には、後に世界的な伝道者となる木村清松がこのリバイバルの中で洗礼を受けています。

その後、1913年（大正2年）には長田時行が第11代牧師として赴任しました。長田は在任中、教育事業にも力を入れ、聖友女学校を設立しています。しかし、1922年（大正11年）、長田は病のため牧師を辞任し、東京へ転居しました。

日本基督教団への合流、そして現在

時代が進み、戦時体制下の1941年（昭和16年）、日本のプロテスタント諸教会合同の流れの中で、日本組合教会の所属として日本基督教団に連なります。戦後も、日本基督教団に属する教会として、現在も新潟市中央区営所通二番町に会堂を構え、地域における伝道と奉仕の歩みを続けています。

この教会の歴史からは、困難の中での信仰の灯、分裂の痛み、そして祈りによる信仰復興の力が読み取れます。新潟の地に蒔かれた福音の種が、多くの試練を乗り越え、現在まで受け継がれているのです。

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