日本宣教百年記念聖書信仰運動

日本宣教百年記念聖書信仰運動とは

1959年、日本におけるプロテスタント宣教100周年を記念して、「聖書信仰」を共通の基盤として、福音主義的な様々な教団・教派が協力し展開された運動です。この運動は、当時の日本のキリスト教界において、聖書に対する様々な解釈が存在する中で、聖書の無謬性を主張し、福音主義信仰を再確認することを目的としていました。

東京大会と著名な講師陣

この運動のハイライトとして、同年秋に各地で開催された大会の中でも、特に11月18日の東京大会が挙げられます。この大会には、カナダ・トロントのピューピルズ・チャーチ牧師であるオスワルド・スミス博士を主講師として迎え、旧約聖書学者のエドワード・J・ヤング博士、新約聖書学者のロジャー・ニコル博士など、著名な海外の神学者たちが来日し講演を行いました。大会では、参加者に向けて、この運動の基本理念を表明する大会宣言が発表されました。

日本プロテスタント聖書信仰同盟への発展

宣教100周年記念の年が終わると同時に、この運動は「日本プロテスタント聖書信仰同盟」という組織へと発展しました。運動期間中から組織化後も、日本キリスト改革派教会の岡田稔氏や、イムマヌエル綜合伝道団の蔦田二雄氏などが中心的な役割を果たしました。この同盟は、当時キリスト教会に影響を与えていた、聖書を批判的に解釈する立場（高等批評）に対抗し、聖書を「誤りなき神の言葉」として受け入れることを明確にしました。そして、聖書の教えに基づいたキリスト教信仰の理解と実践を推進することをその目的としました。

日本福音同盟への貢献と聖書信仰の継承

その後、日本プロテスタント聖書信仰同盟は、日本福音同盟の再編において、他の二つの団体と共に創設団体としての重要な役割を果たし、発展的にその全国組織を解消しました。しかし、組織が解散した後も、各地で聖書信仰運動は継続され、その精神は連綿と受け継がれていきました。この運動の影響は、戦後間もない頃にエキュメニカル派（リベラル派）と福音派（聖書信仰派）の比率が26対1であったものが、1990年には5対5にまで変化したことにも見て取れます。この変化は、聖書信仰が日本において深く根付き、福音派が大きく発展したことを示しています。

まとめ

日本宣教百年記念聖書信仰運動は、単なる記念行事ではなく、その後の日本の福音派の発展に大きな影響を与えた重要な運動でした。聖書信仰を明確に打ち出し、聖書の教えに基づく信仰生活を促進したこの運動は、日本のキリスト教界に大きな足跡を残しました。そして、その精神は、今日においてもなお、多くの人々に受け継がれています。

関連情報

日本プロテスタント聖書信仰同盟：本運動から発展した組織。
日本福音同盟：本運動が創設に貢献した団体。
聖書信仰：本運動の根幹をなす信仰理解。

参考文献

『聖書信仰』吉岡繁著　宣教百年記念聖書信仰運動　1959年
『聖書の権威』尾山令仁著　日本プロテスタント聖書信仰同盟（再版:羊群社）
『聖書の教理』尾山令仁著　羊群社
『現代と聖書信仰』日本プロテスタント聖書信仰同盟
機関紙『聖書信仰』日本プロテスタント聖書信仰同盟

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