日本庭園協会

一般社団法人日本庭園協会

一般社団法人日本庭園協会は、大正7年（1918年）に設立された、日本の庭園、公園、造園分野における歴史ある専門団体です。設立当初は任意団体として活動を開始し、昭和12年（1937年）に厚生省から社団法人として認可を受けました。さらに、平成26年（2014年）には一般社団法人へ移行し、今日に至ります。

目的と事業

本協会は、庭園、公園、園芸、そして風景の美しさに関する研究と普及活動を主要な目的としています。また、庭園に関わる専門技術者の技術向上や、伝統的な技術の次世代への継承にも力を入れています。

具体的な活動としては、造園技術者に対する指導、国内外の庭園や公園に関する調査研究、海外に存在する日本庭園の維持管理支援や技術者の派遣を行っています。さらに、文化財に指定されている庭園の調査、修復、維持管理にも積極的に関わっています。庭園文化への理解を深めるため、展覧会や講演会、講習会などを開催するほか、関連団体の催し物の後援も行います。日本庭園の魅力や技術を諸外国へ紹介し普及させるための国際交流活動も重要な柱の一つです。これらの活動を広く知らせるために、会誌などの広報媒体の発行も手がけています。

沿革

協会のルーツは、大正7年（1918年）に東京帝国大学林学科の本多静六博士を中心として、「庭園、公園などの鑑賞研究」を目指して創設されたことにあります。創設時には、本多静六のほか、上原敬二、龍居松之助、田村剛、伊東忠太など、当時の造園、建築、学術分野の第一人者たちが世話人として名を連ねました。

昭和10年（1935年）には、藤山雷太が第2代会長に就任し、この頃にはアメリカガーデン・クラブの来日など、国際的な交流も行われました。社団法人となった後の昭和14年（1939年）には藤山愛一郎が第3代会長に、昭和16年（1941年）には男爵團伊能が第4代会長に就任しますが、戦況の悪化に伴い、本来の活動の継続が困難となり、やむなく休止状態となりました。

戦後、昭和30年代（1955年頃）に入ると復興の機運が高まり、活動を本格的に再開します。昭和35年（1960年）には、ブリヂストン創業者の石橋正二郎が第5代会長に就任し、国際交流や庭園鑑賞会などが活発に行われるようになりました。田村剛、飯田十基と会長が引き継がれ活動が継続される中で、昭和51年（1976年）頃には、休眠法人に関する国の調査対象となる懸念が生じました。これに対応するため、当時の宇野宗佑に代表への就任を要請し、組織力の強化を目指しました。同時期に、社団法人日本庭園協会と任意団体であった日本造園士会との間で合併の議論が持ち上がりました。両者には思想や目的の違いがありましたが、互いの立場を尊重することで合意に至り、組織内に鑑賞研究部会と造園士部会（後にそれぞれ鑑賞研究委員会、技術委員会となる）が発足する形で連携を強化しました。

昭和53年（1978年）、宇野宗佑が第8代会長に就任し、翌年には休刊していた機関誌「庭園」が復刊されます。また、造園技術の向上と継承を目的とした実技講習会も始まりました。昭和55年（1980年）に岩城亘太郎が第9代会長に就任すると、会報の発行も始まり、協会の活動は一層活発化します。

平成に入ると、吉川需が第10代会長、北村信正が第11代会長を務め、地方での活動が活発化し、全国各地に支部が数多く設立されました。平成6年（1994年）からは、国際的な取り組みとして、アメリカ・ポートランドに本拠を置く国際日本庭園協会と共同で、国際日本庭園シンポジウムを定期的に開催しています。

その後、龍居竹之介が第12代会長、金子直作が第13代会長を務め、現在は高橋康夫氏が第14代会長として協会の運営を担っています。

日本庭園協会賞

日本庭園協会は、会員の中から、協会の目的に沿った顕著な功績のあった個人を表彰する「日本庭園協会賞」を設けています。この賞は、庭園に関わる技術、設計、環境保全、研究活動、あるいは趣味を通じた庭園文化の普及といった幅広い分野での貢献を称えるものです。これまでに河西力、鈴木直衛、小口基實、曽根三郎、横山英悦、高橋良仁、三鍋光夫、廣瀬慶寛、古平貞夫、小沼康子、小泉隆一、廣瀬辰臣、越智將人、田中徳夫（奨励賞）など、多くの功労者が受賞しています。

関連事項

庭園
公園
造園
本多静六

所在地：東京都新宿区西早稲田1丁目6番3号 フェリオ西早稲田301号

もう一度検索