教科用図書

教科用図書とは

教科用図書は、学校教育において、児童や生徒が学習のために使用する主要な教材です。一般的に「教科書」とも呼ばれますが、法令上は「教科書」に準ずるものとして地図が扱われたり、教科書以外の教育用図書も存在したりするため、区別が必要です。

概要

教科用図書は、学校で教科を教えるために用いられる図書であり、文部科学省が定める「教科用図書検定基準」に合致する必要があります。この基準は学習指導要領に準拠しており、教科用図書には、検定済教科書、文部科学省著作教科書、そして附則第9条図書と呼ばれる教科書以外の教育用図書があります。

ただし、副教材や自主学習においては、検定外の教科書が用いられることもあります。高等教育機関や専修学校などでは、文部科学省の検定は行われていません。

教科用図書の定義

「教科用図書」は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で使用される教科用の図書と定義されています。特に、文部科学大臣の検定を経たもの、または文部科学省が著作の名義を有するものは、教育法令で「教科書」とされます。

教科用図書使用の原則と例外

小中学校などでは、原則として文部科学省検定済教科書または文部科学省著作教科書を使用しなければなりません。しかし、高等学校や特別支援学校などでは、これらの教科書が存在しない場合、教科書以外の教育用図書を使用できる例外があります。これが附則第9条図書です。

教科用図書の発行・流通

検定済教科書は、通常、民間の出版社が制作し、検定に合格した後に発行・販売されます。文部科学省著作教科書も同様に、入札で選ばれた出版社が制作・発行・販売を行います。これらの教科用図書は、出版社から教科書特約供給所や大取次会社を経て、教科書供給業者を通じて学校や児童・生徒に届けられます。一般の書店での販売は、取り寄せ注文を除いてほとんど行われていません。

無償配布

義務教育諸学校で使用される教科用図書は、法律に基づき無償で配布されます。紛失や破損時には、所定の料金を支払うことで再入手が可能です。

教科用図書の採択

教科用図書の採択は、都道府県教育委員会が設定した採択地区ごとに行われます。

在外邦人への無償配布

海外に滞在する日本国籍の小中学生にも、一定の条件を満たせば教科書が無償で配布されます。配布方法は、出国前に受け取る、現地の日本人学校・補習授業校から受け取る、または大使館・領事館から受け取るといった方法があります。

教科用図書（教科書）の企業・業界団体

主な教科書発行者としては、東京書籍、大日本図書、教育図書、実教出版、開隆堂出版など多数の企業があります。

主な教科書発行者

以下は、教科書協会正会員事業者の一部です。

東京書籍
大日本図書
教育図書
実教出版
開隆堂出版
学校図書
三省堂
教育出版
信州教育出版社
教育芸術社
清水書院
光村図書出版
帝国書院
大修館書店
新興出版社啓林館
山川出版社
音楽之友社
数研出版
文英堂
日本文教出版
明治書院
二宮書店
筑摩書房
オーム社
旺文社
増進堂
農山漁村文化協会
学校法人東京電機大学（東京電機大学出版局）
第一学習社
東京法令出版
三友社出版
文教社
光文書院
桐原書店
京都書房
中央法規出版
フォーイン・スクリーンプレイ事業部
Gakken
自由社
育鵬社
学び舎
いいずな書店

その他

暁出版
コロナ社
東京点字出版所
日本ライトハウス
教育図書出版社
東京ヘレン・ケラー協会
海文堂出版
知研出版
視覚障害者支援総合センター
日本点字図書館
明成社
CHEERS
山下明
ケンブリッジ大学出版局

かつて存在した主な教科書発行者

大阪書籍
中教出版
実業之日本社
二葉
開拓社
修文館
好学社
富士教科書
日本書院
大阪教育図書
池田書店
一橋出版
右文書院
日栄社
学習研究社（現・学研ホールディングス）
あゆみ出版
扶桑社

教科書採択占有率

教科書発行会社は、小学校、中学校、高等学校でそれぞれ異なり、占有率も変動します。上位の企業が大部分のシェアを占めている状況です。

教科書発行者の団体

一般社団法人教科書協会
一般社団法人教科書著作権協会
公益財団法人教科書研究センター
教科書図書館

教科書供給の団体

教科書供給所
教科書特約供給所
教科書取次供給所
一般社団法人全国教科書供給協会

関連項目

教科書
検定外教科書
教科用図書検定
検定済教科書
教科書採択
国定教科書
義務教育教科書費国庫負担請求事件
歴史教科書問題
家永三郎
家永教科書裁判
中野文門

脚注

注釈

出典

外部リンク

教科書 - 文部科学省
教科書目録 - 文部科学省
教科用図書検定規則 - 文部科学省
一般社団法人 教科書協会

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