日本臓器製薬

日本臓器製薬

大阪府大阪市中央区に本社を構える日本の製薬会社です。関西をルーツに持つ企業の一つであり、多岐にわたる事業を展開しています。

企業の特徴と事業内容

創業当初は特定の分野に特化していましたが、現在では痛みの治療に用いられる鎮痛剤領域を主要な事業分野としています。特に、整形外科やペインクリニックで広く使用される鎮痛薬「ノイロトロピン」は、同社を代表する製品としてその名が知られています。

近年は一般向け医薬品の市場開拓にも注力しており、鉄分補給による貧血治療薬「マスチゲン」シリーズは、テレビCMなどを通じて広く認知されています。このシリーズには、錠剤タイプの「マスチゲン錠」や内服液タイプの「マスチゲン-S内服液」などがあります。また、医薬品だけでなく、指定医薬部外品のトローチ「アイストローチ」や一般医療機器の鼻腔洗浄スプレー「ドライノーズスプレー」といった製品も手掛けており、幅広い健康関連分野に進出しています。過去には水虫薬「セパクリン」の製造・販売も行っていました。

特筆すべき点として、製薬事業に加えて、ごみ焼却プラントの設計や建設といったエンジニアリング事業も展開していることが挙げられます。これは日本の製薬会社としては比較的珍しい事業形態です。

歴史的には、かつてオーストリアの企業が製造した血液製剤を輸入・販売していた時期があり、このことが後に薬害エイズ事件訴訟において被告企業の一つとなる原因となりました。

沿革の概要

日本臓器製薬の歴史は、1939年10月に大阪市生野区で「株式会社大日本臓器研究所」として創業したことに始まります。その後、1942年には大阪市平野区に本社および工場を移転しました。1961年1月には現在の社名である日本臓器製薬株式会社に改称しています。

製品の自主販売体制を確立するため、1960年には塩野義製薬との総代理店契約を解消。海外企業との提携も進め、1965年にはスイスやフランスの製薬会社と業務提携を結んでいます。研究開発体制の強化にも力を入れ、1983年には生物活性科学研究所を、1996年には技術研究所を設立しました。製造拠点としては、1986年に小野緑園工場を竣工し、2007年には平野工場を閉鎖して小野緑園工場へ製造機能を統合しています。

国際的な展開としては、1990年代に中国で合弁企業を設立するなど、海外進出も積極的に行いました。また、2020年には本社を現在の大阪市中央区平野町に移転しています。経営体制では、小西家が代々社長を務める体制が続いており、2023年6月には小西崇文氏が社長に就任しています。2024年にはコーポレートロゴが刷新されました。

主な製品例

一般用医薬品
マスチゲン錠【第2類医薬品】: 貧血治療薬。1日1回服用に改良された製品。
マスチゲンBBゼリー錠【第3類医薬品】: チュアブルタイプのビタミンB2・B6製剤。
マスチゲン-S内服液【第2類医薬品】: 貧血治療用ドリンク剤。
ラックル速溶錠【第2類医薬品】: 速く溶けるアセトアミノフェン配合の解熱鎮痛薬。
ルナールi【指定第2類医薬品】: 花形錠剤の解熱鎮痛薬（イブプロフェン・アセトアミノフェン配合）。
肩用ラックル顆粒【第2類医薬品】: 独活葛根湯配合の漢方製剤。
コフト顆粒【指定第2類医薬品】: 葛根湯と総合かぜ薬成分配合の感冒薬。
医療用医薬品
ノイロトロピン: 疼痛治療剤。
* ヒスタグロビン: アレルギー疾患治療剤。

このほか、指定医薬部外品の「アイストローチ」や一般医療機器の「ドライノーズスプレー」などがあります。

広報・プロモーション

製品のプロモーションとして、テレビCMやラジオ番組提供なども積極的に行っています。以前は関西ローカルを中心にCMを放送していましたが、近年は全国的な展開も見られます。製品CMにはタレントや俳優を起用し、製品特徴をアピールしています。

また、スポーツイベントへの協賛も行っており、朝日放送が主催するマラソン大会や女子プロゴルフツアーのステップ・アップ・ツアーなどを支援しています。過去にはフジテレビ系のバラエティ番組や、ニッポン放送のラジオ番組のスポンサーを務めた実績もあります。

もう一度検索