日本航空羽田空港墜落事故

日本航空羽田空港墜落事故

1966年8月26日、羽田空港で発生した日本航空の航空機墜落事故は、日本の航空史に残る悲劇の一つです。この事故では、日本航空がリースしていたコンベア880型機（機体記号JA8030、愛称「銀座号」）が、離陸直後に墜落炎上し、乗員5名全員が犠牲となりました。事故機は、日本国内航空が所有しており、日本航空にリースされていました。

事故の経緯

事故当日、銀座号は午前中に羽田空港から北海道への往復飛行を実施し、午後は羽田空港で離着陸訓練を行う予定でした。当時は、A滑走路が工事中で閉鎖されていたため、平行するC滑走路から離陸することになりました。この訓練飛行は、操縦士の機種限定変更試験の一環として行われていました。

午後2時35分、離陸時のエンジン故障を想定した訓練項目「ワン・エンジン・クリティカル・カット・アウト」が実施されました。この訓練では、滑走中に第4エンジンを手動で停止させることが求められていました。しかし、この操作によって、機体の風下側の推力が失われ、機体は急激に片滑りを始めました。目撃証言によると、機体はC滑走路から右に逸脱し、左車輪が折れた後、胴体着陸して爆発炎上したとのことです。

事故原因は、コンベア880型機が、もともとこの訓練操作が難しい機体であったことに加え、訓練生の操作ミスが重なった複合的な要因によるものとされています。

事故が残した教訓

この事故は、当時の日本の航空業界における安全管理体制の甘さを露呈させました。特に、旅客機の発着が頻繁に行われている羽田空港で、訓練飛行を実施しなければならなかったという事実が、大きな問題として指摘されました。

また、この事故は、民間人が撮影した写真や8ミリフィルム映像がニュースで報道され、社会に大きな衝撃を与えました。このような記録は、事故の悲惨さを後世に伝える上で重要な役割を果たしています。

事故後の影響

事故後、日本航空は、事故で失われたコンベア880型機の補償として、東亜国内航空（旧日本国内航空）にボーイング727型機を1機無償譲渡しました。この譲渡された機体は、後にダン・エアに売却され、1980年にテネリフェ空港で墜落事故を起こしています。

1966年の航空事故多発

1966年は、日本で航空事故が多発した年でした。この日本航空羽田空港墜落事故は、その4件目にあたります。この年発生した他の航空事故には、以下のものがあります。

全日空羽田沖墜落事故（2月4日）
カナダ太平洋航空402便着陸失敗事故（3月4日）
英国海外航空機空中分解事故（3月5日）
全日空松山沖墜落事故（11月13日）

これらの事故は、当時の日本の航空行政や安全対策に大きな課題を突きつけました。

参考文献

運輸省航空局『航空事故調査報告書 No.005 日本航空 コンベア880-22M JA8030 東京国際空港 1966.08.26』
『朝日新聞』1966年8月27日、朝刊

関連情報

日本航空モーゼスレイク墜落事故
日本航空の航空事故およびインシデント

外部リンク

日航訓練機炎上（中日ニュース）
その後の727機（中日ニュース）

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