カナダ太平洋航空402便着陸失敗事故

カナダ太平洋航空402便着陸失敗事故

1966年3月4日、香港発東京経由バンクーバー行きのカナダ太平洋航空402便が、東京国際空港（羽田空港）への着陸直前に墜落した航空事故です。この事故は、前月に発生した全日空羽田沖墜落事故、翌日に発生した英国海外航空機空中分解事故と合わせて、日本社会に大きな衝撃を与えました。

事故の概要

カナダ太平洋航空（現エア・カナダ）の402便は、ダグラスDC-8-43型機で運航されており、香港から東京を経由してバンクーバーへ向かう環太平洋路線でした。事故当時、この路線は週2便運航されており、402便の乗務員は経験豊富なベテランパイロットでした。

3月2日から日本各地は濃霧に見舞われており、事故当日も羽田空港周辺は視界不良でした。国内線の運航がほぼストップし、国際線も福岡空港などへの代替着陸を余儀なくされていました。402便は香港を離陸後、悪天候のため上空で待機していましたが、一時的に視界が回復したため羽田空港への着陸を試みました。

しかし、着陸進入中に管制官の指示よりも高度が下がり始めたため、管制官は水平飛行を指示しましたが、パイロットは滑走路の灯火の減光を要求し続け、降下を続けました。その直後、402便は進入灯に接触し、護岸に激突、大破炎上しました。この事故で乗員10名と乗客54名、合わせて64名が犠牲となりました。

生存者の中には、衝撃で大きく裂けた機体から脱出できた人もいましたが、多くは火災に巻き込まれて亡くなったとされています。事故後、空港消防隊が出動し消火活動を行いましたが、機体は尾翼を残して全焼しました。また、事故翌日には英国海外航空911便が富士山麓に墜落する事故も発生し、NHKのカメラマンが偶然402便の残骸の横を離陸する911便の最後の姿を撮影していました。

事故原因

事故調査委員会は、羽田空港のレーダー記録と無線交信の分析を行い、事故原因を分析しました。その結果、事故の原因は悪天候の中で着陸を試みたこと、および進入最終段階でパイロットが早く滑走路を視認するために意図的に高度を下げたことが指摘されました。

また、乗員がフランス系カナダ人であったため、訛りの影響で管制官との意思疎通がうまくいかなかったことも明らかになりました。当時の402便には、ボイスレコーダーやフライトレコーダーは搭載されていませんでした。

1966年の連続航空事故

1966年には、日本国内で5件の航空事故が発生しており、本事故はその2件目でした。この年は、全日空羽田沖墜落事故、英国海外航空機空中分解事故、日本航空羽田空港墜落事故、全日空松山沖墜落事故が相次ぎ、社会に大きな不安を与えました。これらの事故の中で、402便の事故は唯一生存者が存在する事故でした。

1966年に発生した航空事故

全日空羽田沖墜落事故 - 2月4日
カナダ太平洋航空402便着陸失敗事故 - 3月4日
英国海外航空機空中分解事故 - 3月5日
日本航空羽田空港墜落事故 - 8月26日
* 全日空松山沖墜落事故 - 11月13日

事故の影響

この事故の後、穴守稲荷神社の旧「一の鳥居」が羽田空港に放置されていることが取り上げられ、「祟り」の噂が広がりました。神社を空港内に復興すべきとの声も上がりましたが、最終的には頓挫しました。現在、穴守稲荷神社は再建され、ターミナルビルの屋上には分社が祀られています。

まとめ

カナダ太平洋航空402便の着陸失敗事故は、悪天候という状況下で、管制官とのコミュニケーション不足や、パイロットの判断ミスが重なり発生した悲惨な事故でした。この事故は、航空安全における様々な課題を浮き彫りにし、その後の航空安全対策に大きな影響を与えました。

この事故を教訓として、航空業界ではより安全な運航を目指した取り組みが続けられています。

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