日本賞

日本賞（Japan Prize）

日本賞は、教育放送の振興と国際交流の促進を目的として開催される、国際的な番組コンテストです。世界各国の放送機関が制作した教育・教養番組作品を募集し、その内容や教育的な価値に重点を置いて厳正な審査が行われます。この権威あるコンテストは、日本放送協会（NHK）が主催しています。また、コンテスト期間中に合わせて開催される関連イベントについてもご紹介します。

コンテストの歴史と概要

日本賞の創設の契機となったのは、1964年4月に日本で開催された第2回世界ラジオ・テレビ学校放送会議です。この会議において、当時のNHK会長であった阿部真之助氏が、教育放送の質を高め、国境を越えた理解と協力を促進することを目指し、教育番組に関する国際的なコンクールを創設することを提案しました。この提案は、会議参加者から満場一致で支持され、同年にはアジア放送連合（現在のアジア太平洋放送連合）および欧州放送連合の総会でも賛同を得ました。こうして、1965年に「日本賞教育番組国際コンクール」として正式に設立されました。

第1回コンクールには、世界46カ国から70の放送機関が参加し、ラジオ番組95作品、テレビ番組90作品が応募されました。1965年10月21日、旧NHKホールで第2回アジア放送連合総会開会式との合同式典として行われた第1回授賞式では、テレビ部門でフィンランド放送協会の『自然のカレンダー—むかしむかし』、ラジオ部門で西ドイツ放送協会の『初等英語—ライダー夫人と議員さん』がそれぞれ受賞の栄誉に輝きました。

コンクールは当初、第9回までは東京のほか、大阪、名古屋、広島、仙台、札幌といった国内各都市でも毎年開催されました。その後、1975年の第10回からは開催頻度が隔年となりましたが、1991年の第18回より再び毎年開催に戻り、現在では毎年10月から11月にかけて東京で開催されています。コンクールの成果を世界中に広く紹介し、教育放送の向上と発展に貢献することを目的に、1974年には「日本賞巡回ライブラリー」が設立されました。このライブラリーの運営は放送文化基金からの助成を受けています。

コンテスト部門

日本賞コンテストは現在、主に三つの主要部門で構成されており、各部門から優れた作品が選ばれた後、さらにこれらの優秀作品の中から最も優れた一点に「日本賞グランプリ」が贈られます。受賞者に贈られる賞牌は、奈良の薬師寺にある水煙の意匠から着想を得て制作されました。

部門構成は以下の通りです。

番組部門: この部門はさらに、子ども向け、青少年向け、一般向け教養番組、教育ジャーナル番組の四つのカテゴリーに細分化され、それぞれのカテゴリーで優秀作品が選出されます。
ウェブ部門: インターネットを通じたパソコンや携帯電話などの通信メディアと、番組との連携や双方向性を重視した作品を評価します。
* 番組企画部門: 予算や機材といった制作環境が十分に整っていない国や地域でも、優れた教育番組の企画が実現できるよう、賞金によってその制作を支援することを目的とした部門です。

かつてはラジオ部門も存在しましたが、1989年の第17回コンクールをもって廃止されました。また、2007年以降は、経済産業省が主導する総合エンタテイメント関連イベント「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」の一部としても位置づけられています。

NHK教育フェア（現在のNHK文化祭）

2000年にNHKが放送開始75周年を迎えた記念事業の一環として、日本賞の開催期間を利用した公開参加型のイベント「NHK教育フェア」が始まりました。このフェアは、東京都渋谷区にあるNHK放送センター、NHKスタジオパーク、みんなの広場ふれあいホールなどを会場として開催されました。一般の視聴者が教育番組の未来を肌で感じられる体験コーナーや、これからの子どもたちにどのように教育番組を見せていくべきかを探るパネル展示、さらにはステージイベントなどが展開されました。

イベント期間中は、特にNHK教育テレビジョン（Eテレ）において、教育番組のあり方を問い直したり、新しいスタイルの教育番組を試験的に披露したりする特別な番組編成が、主にゴールデンタイムやプライムタイムを中心に行われました。

このイベントは、2010年の放送85周年を機に内容が拡充され、「NHK文化祭」と名称を変えて現在も継続開催されています。NHK文化祭は、日本賞とともに教育放送の現在と未来を発信する重要な機会となっています。

このように、日本賞は教育放送の国際的な質の向上と普及に長年にわたり貢献し続けている、歴史あるコンテストと言えるでしょう。関連イベントも含め、教育に関心を持つ人々にとって重要な場を提供しています。

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