日本郵便逓送株式
会社(にっぽんゆうびんていそう、Nippon Mail Transportation Co., Ltd.)は、かつて日本に存在した株式
会社です。
郵便事業株式
会社(現在の
日本郵便)から委託を受け、
郵便物やゆうパックの輸送を担っていました。また、多くの郵便局の管轄エリアでポストの収集業務も請け負っていました。略称は「日逓(にってい)」で、赤い
郵便車は多くの人に親しまれていました。
概要
日本郵便逓送は、旧
郵政省のファミリー企業の一つとして位置づけられていました。社長は
郵政省郵務局長の典型的な
天下り先であり、役員も旧
郵政省や旧全逓から派遣されていました。形式的には外部委託でしたが、
郵政省時代には、
郵政省職員が自ら
郵便物輸送やポスト収集を行うよりも、
日本郵便逓送に委託する方が高コストになるという、民間企業では考えられない状況も存在しました。
郵政民営化に伴い、出資関係のない企業を実質的な子
会社として扱う状況を是正するため、
郵便事業株式
会社の子
会社である
日本郵便輸送準備株式
会社がTOB(株式公開買付け)を実施しました。
2009年1月1日には、全国に存在した13社の同様のファミリー企業を
日本郵便逓送が吸収合併し、同年2月1日には
日本郵便輸送準備に合併される形で統合され、
日本郵便輸送株式
会社へと社名を変更しました。
設立の経緯
会社設立は
1942年(昭和17年)
12月1日に遡ります。それまで郵便専用自動車の運行事業者は小規模なものが多く、地域ごとに多数の事業体が点在していました。しかし、日中戦争・太平洋戦争の勃発により戦時体制下となり、燃料や資材の調達が統制される一方で、陸上運送事業者の統合・集約化が進められました。これにより、郵便専用自動車の運行体制維持に懸念が生じたため、
逓信省は郵便専用自動車の運行を専門とする全国規模の事業体を設立し、運行体制の確保を図ることとしました。
その結果、逓信共済組合などを主要株主とする株式
会社として
日本郵便逓送が設立されました。設立に伴い、全国の郵便専用自動車運行事業者の統合が推進されました。
逓信省や
郵政省による直接的な出資関係はなかったものの、設立の経緯から郵政事業とは密接な関係があり、郵政事業国営時代末期の1990年代においても筆頭株主は
郵政省職員共済組合でした。
従業員数
2006年(平成18年)
3月31日時点で、従業員数は6,455名でした。
関連事項
日本高速物流
日本郵便
*
日本郵便輸送