日本SF新人賞

日本SF新人賞

日本SF新人賞は、日本SF作家クラブが主催していた長編SF小説の新人賞です。1999年から2009年まで、計11回実施されました。この賞は、日本のSF界に新たな才能を送り込むことを目的として創設され、新人作家にとって重要な登竜門としての役割を果たしました。

概要

日本SF新人賞は、新人SF作家の発掘と育成を目指し、副賞として100万円が授与されました。後援は徳間書店が務め、受賞作品は同社から刊行、または映像化されることが期待されました。この賞の創設は1999年で、1997年度の日本SF大賞に先駆けて、日本SF作家クラブの総会で決定されました。授賞式は日本SF大賞と同時に行われ、SF界の注目を集めました。

しかし、2010年3月5日、第11回をもって休止されることが発表されました。SF界に多くの才能を輩出した新人賞の休止は、関係者やファンに惜しまれました。

日本SF新人賞でデビューした作家にとって、徳間書店の雑誌『SF Japan』（2000年創刊）は、作品発表の主要な場の一つでした。しかし、この雑誌も2011年2月刊行の2011年春号で最終号を迎えました。最終号には、照下土竜を除く20名の受賞作家の短編が掲載され、新人賞の歴史を締めくくる形となりました。また、受賞作が刊行されていない木立嶺の短編も掲載されました。

選考委員

各回の選考委員は、SF界の著名な作家や評論家が務めました。以下は、各回の選考委員のリストです。

第1-3回：小松左京（委員長）、大原まり子、笠井潔、神林長平、小谷真理、山田正紀
第4回：筒井康隆（委員長）、新井素子、井上雅彦、久美沙織、谷甲州、野阿梓
第5回：豊田有恒（委員長）、新井素子、井上雅彦、久美沙織、谷甲州、野阿梓
第6-7回：夢枕獏（委員長）、北野勇作、牧野修、ひかわ玲子、森岡浩之
第8-9回：梶尾真治（委員長）、小林泰三、浅暮三文、森奈津子、田中啓文
第10回：森下一仁（委員長）、飯野文彦、図子慧、林譲治、若木未生
第11回：山田正紀（委員長）、飯野文彦、図子慧、林譲治、若木未生

受賞作一覧

各回の受賞作品は、以下の通りです（受賞作決定は12月初旬、贈賞式は翌年）。

第1回（1999年）：『M.G.H.』三雲岳斗
第2回（2000年）：『ペロー・ザ・キャット全仕事』吉川良太郎／『ドッグファイト』谷口裕貴
第3回（2001年）：『さらば牛肉』（『マーブル騒動記』に改題）井上剛
第4回（2002年）：『ルナ（RNA）』（『ルナ Orphan's trouble』に改題）三島浩司
第5回（2003年）：『夢見る猫は、宇宙に眠る』八杉将司
第6回（2004年）：『ゴーディーサンディー』照下土竜
第7回（2005年）：『マーダー・アイアン ──万聖節前夜祭──』（『マーダー・アイアン 絶対鋼鉄』に改題）タタツシンイチ
第8回（2006年）：『ジャン＝ジャックの自意識の場合』樺山三英
第9回（2007年）：『黒十字サナトリウム』中里友香／『宇宙細胞』黒葉雅人
第10回（2008年）：『プシスファイラ』天野邊／『競馬の終わり』杉山俊彦
第11回（2009年）：『樹環惑星‐ダイビング・オパリア‐』伊野隆之 / 『シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約』山口優

関連項目

日本SF作家クラブ
日本SF大会
日本SF大賞
星雲賞
SFの新人賞
小松左京賞
ハヤカワ・SFコンテスト
創元SF短編賞
* 日本SF評論賞

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