日産・マーチ

日産マーチ（MARCH）

概要

日産自動車が生産・販売していたハッチバック型のコンパクトカー、マーチ（MARCH）は、1982年から2022年まで日本国内で販売されました。初代が登場する以前、日産は1000ccのBセグメントの空白を埋める小型車を必要としており、マーチはそのニーズに応える形で開発されました。また、この車両は日本国内だけでなく、欧州市場でも「マイクラ」（Micra）という名で販売され、国際的な展開を見せました。

モデルの歴史

マーチは1982年のデビュー以来、さまざまなモデルチェンジを重ね、計5世代にわたります。初代モデルのK10型は、特に日本国内での人気が高く、数多くのバリエーションを展開しました。特に2代目のK11型では、日本カー・オブ・ザ・イヤー（1992）やRJCカー・オブ・ザ・イヤー（1992）、欧州カー・オブ・ザ・イヤー（1993）を受賞するなど高い評価を得ました。

初代 K10型（1982年 - 1992年）

1981年の東京モーターショーで「NX-018」としてお披露目された初代マーチは、1982年10月に正式に発売されました。開発には著名なデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロが関与し、外観は個性的ながらも親しみやすいデザインが特徴でした。また、タレントの近藤真彦が起用されたキャッチコピー「マッチのマーチ」が話題を呼びました。

基本エンジンはMA10S型で、様々なグレードを展開。スポーツグレードの「ターボ」や、モータースポーツに特化した「R」など多彩なラインナップが魅力でした。特に派生車としてのパイクカー（Be-1、パオ、フィガロなど）は収集対象としても人気を博しました。

2代目 K11型（1992年 - 2002年）

1992年にフルモデルチェンジし、K11型が登場。このモデルは新開発のプラットフォームを使用し、ボディサイズや室内の居住性が改善され、より快適なドライビング体験を提供しました。また、JCOTYやRJCカー・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞するなど、その性能とデザインは評価されました。エンジンも新たにCG型エンジンを採用し、CVTが初めて設定されるなど、技術的にも進化しました。

3代目 K12型（2002年 - 2010年）

3代目であるK12型は、NissanとRenaultのアライアンスの元、共通プラットフォームが採用されました。この世代より、多彩な人々のニーズを満たすため、様々なカラーや素材が用意されました。一方で、グレードの選択肢も減り、日本市場では短命に終わることとなりました。

4代目 K13型（2010年 - 2017年）

K13型は、日本国内では追浜工場からタイに生産拠点を移し、外装デザインやスペックの見直しが行われました。この世代では、環境性能の向上を目指し、「PURE DRIVE」シリーズとしても展開されました。

5代目 K14型（2017年 - 2023年）

最終モデルであるK14型は、2017年にフランスで発表され、欧州市場に特化したマイクラとして展開されました。このモデルから日本市場には導入されず、事実上日本でのマーチの歴史はここで幕を閉じました。

車名の由来

『マーチ』という名前は、英語で「行進」「行進曲」などの意味を持ちます。その名前は、一般公募によっても決定されましたが、同じ名を持つレーシングカーメーカーへの批判もありました。

結論

マーチは、長い歴史の中で多くのファンに支えられ、さまざまな形で進化を遂げてきました。コンパクトカーとしての魅力と技術革新を備えたこのモデルは、今もなお多くの人々に愛されています。

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