日産・Be-1

Be-1の概要と特徴

Be-1（ビー・ワン）は、1987年に日産自動車によって販売された乗用車であり、型式はBK10型である。この車は、初代マーチのシャーシを基に、独特のレトロデザインが施された小型車で、特に「パイクカー」として認識されている。この形状やデザインは、80年代当時の自動車業界に変革をもたらし、後の多くの車両にも影響を与えることとなった。

開発の背景と経緯

1980年代の初め、ホンダ・シティの人気を受けて、日産は自社の小型車市場への対抗策として新型マーチの企画を検討していた。当初は新型マーチを作る計画だったが、デザインプロデューサーの松井孝晏は、社内デザイナー、服飾デザイナー、イタリア人デザイナーのチームに分け、競作形式でデザイン案を募った。この中から選ばれたB-1案が、その革新的なデザイン性により、1985年の東京モーターショーに試作車が展示される運びとなり、好評を得た。その結果、1987年に市場に投入されることが決定した。

人気の高まりと生産

Be-1は、1987年1月に販売が開始され、パンプキンイエローやトマトレッドといった4色から選ばれたデザインで登場した。発売からわずか2カ月で予約が完売し、生産は当初の月産400台から600台に増加した。この車が受け入れられた理由として、デザインのユニークさに加え、当時の自動車業界が追求していた馬力やハイテクデバイスとは異なるアプローチも影響を与えた。

技術革新とデザイン

Be-1のフロントやリアエプロン部分には、米国GE社と共同開発したフレックスパネルを使用し、これにより傷や錆への耐性が大きく向上した。このフレックスパネルは、高い耐衝撃性を持ち、軽微な衝突であれば容易に復元可能であった。その他にも、ABS樹脂やデュラスチールなどの新素材が使われ、従来の車両デザインにはないアプローチで軽量化と耐久性を両立させた。

Be-1の影響

Be-1は、そのレトロなスタイリングと革新的なデザインから、他の車メーカーにも影響を与えた。特に1990年代以降のリバイバルデザインの潮流を生む要因となり、フォルクスワーゲンのニュービートルやBMWのミニなどの車両にその影響が見られる。また、日産はBe-1の人気に後押しされ、1989年には日産・パオ、1991年には日産・フィガロといった、さらなるパイクカーを生み出すこととなる。

受賞歴と文化的影響

Be-1は発売後、1987年に通商産業省選定のグッドデザイン賞や、日経トレンディのヒット商品ランキングで5位を獲得する等、その人気が確立され、多くの賞を受章した。これにより、日産は少量生産車におけるブランド力を高めることにも成功した。さらに、Be-1をテーマにしたオリジナルグッズや関連書籍も市場に登場し、その文化的な側面も強化された。

結論

Be-1は、1980年代の自動車市場において、デザイン革命を引き起こした象徴的なモデルである。今なお、多くのファンに愛されているそのレトロな魅力は、当時の自動車デザインに新たな視点を提供し、現代の車にも広くその影響を残すこととなった。

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