日秀 (真言宗)

日秀の生涯と功績

日秀（にっしゅう）は文亀3年（1503年）に上野国に誕生し、室町時代の真言宗の僧として知られています。彼はその活動を通じて、多くの寺社の建立や再興に関わり、特に琉球王国と薩摩国での活動が注目されています。彼の本名は照皆（しょうかい）、または照海（しょうかい）とも言われています。

出家と渡海

日秀は19歳の時、ある衝撃的な出来事をきっかけに、
高野山で出家を果たします。その後、彼は補陀落渡海に挑戦し、紀伊国熊野那智から出発しました。渡海の途中、日秀の乗った船は琉球諸島の金武の富花津（現在の福花）に漂着します。彼が琉球に到着した時期については諸説あり、いくつかの資料によると、1510年代の初めと見られています。

到着後、日秀は金武に金峰山三所大権現（金武観音寺）を創建し、阿弥陀・薬師・正観音の三尊像を彫刻して安置しました。また、那覇では波上権現護国寺を再興し、熊野三所権現の本地仏像を制作しました。この像の銘文から、日秀が「補陀落渡海行者」として名を馳せていたことも確認されています。

帰国と薩摩での活動

琉球での活動を終えた日秀は、薩摩国坊津に上陸し、1540年代後半に帰国を果たしました。その後、彼は一乗院の復興に関与し、また大隅正八幡宮の再建にも取り組みました。特に、大隅正八幡宮の再興には、用材調達のために屋久島へも渡り、杉の種を蒔くなどの努力をしたことが記されています。

さらに、日秀は信濃善光寺の阿弥陀三尊を模刻し、西寿院を開創しました。これは彼が菩提を弔うための重要な業績です。大隅正八幡宮の周辺では、彼が自刻した千手観音像を安置するために三光院も開創し、数多くの石仏を設置しました。

入定

日秀は天正3年（1575年）に三光院に定室を作り、同年の12月8日に那伽定に入ります。これは多くの信徒からの祈願に応えるための行動とされており、彼の入定は島津義久による戦の勝利を願ったものでした。2年後の天正5年（1577年）には入寂します。彼の遺品は霧島市の隼人歴史民俗資料館で展示されており、文化的な価値も高いものとされています。

伝説と文化的影響

日秀の生涯には多くの伝説が、彼の業績と相まって語られています。特に彼が補陀落山へ渡った際に、琉球に迷い込んだという逸話や、中国製の船底穴が鮑によって塞がれて助かったといった稀有な事件も伝わっています。また、日秀の行動によって妖怪が退治されたという話もあり、地域における彼の神格化を示しています。

まとめ

日秀は、宗教者としてだけでなく、文化的な影響力を持った人物であり、その功績は長い間、琉球や薩摩の歴史の中で語り継がれています。彼が建立した寺社や彼にまつわる伝説は、今でも地域社会に強い影響を与えています。日秀の研究は、沖縄文化や日本仏教史において非常に重要な位置を占めており、彼の業績は今なお広く認識されています。

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