日米平和・文化交流協会

一般社団法人国際平和戦略研究所とは

一般社団法人国際平和戦略研究所（旧・日米文化振興会、日米平和・文化交流協会）は、元外務省が所管していた一般社団法人です。元衆議院議員の笠井重治によって1947年に設立され、日米同盟の信頼醸成と文化交流を目的としていました。

しかし、専務理事の秋山直紀が実際の運用を執り行うようになってから、その活動内容には変化が見られるようになります。具体的には、日米安全保障戦略会議の実施や、防衛族議員を募って訪米し、アメリカの大手兵器産業への訪問などを行っていました。これらの活動は、設立当初の目的とは異なるとの指摘もあります。

不透明な会計と国会での指摘

2007年には、同法人の活動実態が皆無に等しいこと、また2006年の収入について、会費総額と決算報告に大きな齟齬があることが国会で指摘されました。会員数から算出される会費収入と、実際に報告された収入との間に5000万円もの差額があり、その入金元が不透明であると問題視されました。

これに先立つ2005年には、外務省の立ち入り調査を受け、「国防情報の配信事業」が定款外事業であるとして中止を命じられています。

専務理事の逮捕と協会の活動停止

2008年7月24日、専務理事の秋山直紀が脱税容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。防衛関連メーカーなどから受領したコンサルタント料数億円のうち、約2億円の個人所得を隠し、約6000万円を脱税した疑いが持たれています。

また、秋山はマンション建設を巡る民事訴訟で破産宣告を受けており、公私にわたる金銭問題が明らかになりました。

現在、協会のホームページには「従来行っていた活動については、現在休止しております」との記載がありますが、具体的な活動内容については触れられておらず、事実上休眠状態にあると見られています。

旧陸軍毒ガス処理をめぐる疑惑

日米平和・文化交流協会は、福岡県苅田町の苅田港で発見された旧陸軍の毒ガス処理事業にも関わっていました。技術を持った所員がいないにも関わらず、旧防衛庁が実施した入札に参加し、約900万円で落札したことが問題視されています。この事業に関し、同協会は外務省より定款外の事業を受注していると指摘されています。

この毒ガス処理事業の下請け受注に絡み、山田洋行が秋山の関係する企業に約1億円を支出していたことも判明しています。さらに、この資金の一部は米国の軍需部品仲介会社を経由して送金されていたことが明らかになり、資金の流れの不透明さが指摘されています。

山田洋行事件との関連

山田洋行は、協会の秋山に対し、裏金から約3000万円を渡していたことが東京地検特捜部の捜査で判明しています。これは、ゼネラル・エレクトリックおよびノースロップ・グラマンとの代理店契約を継続してもらうための仲介を依頼したものでした。

秋山は、当時の防衛庁長官であった久間章生を通じて、米国の元政府高官に支援を求める文書を託しました。これらの活動は、山田洋行が米国大手メーカーとの契約を維持するための工作活動の一環であり、その資金が秋山を通じて流れていたことが明らかになりました。

スキャンダルによる理事の離脱と現状

山田洋行事件の発覚後、同協会の理事であった山田洋行の社長をはじめ、多くの理事が辞任しました。これらの動きは、マスコミや日本共産党による同協会の実態追及が始まった時期と重なります。

スキャンダル発生前に40人前後いた理事は、現在では秋山直紀を含めて15人となっています。また、第45回衆議院議員総選挙では、理事のうち自由民主党議員全員と綿貫民輔（国民新党）が落選または引退しました。

日米安全保障戦略会議とその問題点

日米平和・文化交流協会と安全保障議員協議会が連名で開催する「日米安全保障戦略会議」には、過去に多くの政治家や軍事関係者が参加し、スピーチを行っています。この会議には防衛装備展が併設され、米大手企業や防衛省技術研究本部、山田洋行などが防衛装備品を展示していました。

高村正彦外務大臣は、同協会で行われている兵器展示会について、「定款の目的外であり、しかるべき措置をとっていきたい」と述べています。

このように、一般社団法人国際平和戦略研究所は、設立当初の目的とは異なる活動や、不透明な資金の流れ、防衛関連企業との不適切な関係など、数々の問題を抱えていたことが明らかになっています。

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