日野橋

日野橋とその歴史

日野橋（ひのばし）は、多摩川を跨ぐ重要な道路橋で、1926年に開通しました。この橋は東京都道256号八王子国立線の一部であり、その開通により旧来の渡しの役割を担うこととなりました。日野橋の位置は、左岸が立川市、右岸が日野市とされており、橋の全長は367.26メートル、幅は10.5メートルです。橋の構造は単純RC桁形式であり、当初の開通時には7.3メートルの幅でした。

日野の渡しの歴史

日野橋に先立ち、多摩川の渡しとして重要な役割を果たしていたのが日野の渡しです。この渡しは江戸時代初期から人々に利用されており、甲州街道の一部として機能していました。当初は府中から分倍河原を経由し、多摩川を渡っていたのですが、その後の氾濫により甲州街道は変更され、日野の渡しが正式に採用されました。1674年には、農作業のために使われていたが、1684年には甲州街道の公式な渡し場として指定されました。

日野の渡しでは、僧侶や武士は無料で利用できる一方、一般市民には渡船費が発生しました。この渡しは江戸時代の後期には通年運行に改められ、1824年からは専用の船を使って多摩川を渡ることができました。しかし、明治時代に入ると甲武鉄道の開通や自動車の普及が進み、渡しの需要は次第に減少しました。

日野橋の建設と改修

1926年に開通した日野橋は、国道8号の一部として機能しました。開通当初は、交通の利便性を向上させるために183万4274円という費用で建設され、270年以上の歴史を持つ日野の渡しに幕を下ろすこととなりました。その後、1964年の東京オリンピックに合わせて、橋の幅の拡張や歩道弁の設置などの大規模改修が行われ、橋の幅は7.3メートルから10.5メートルに広がりました。

さらに、2003年には日野バイパスが開通し、日野橋の交通の流れに変化が生じました。2007年からは日野バイパスが正式に国道20号に移管され、沿線の交通網が整備されました。その後、2019年の台風による影響で一時通行止めとなりましたが、復旧工事が行われ、2020年には通行が再開されました。

現在の状況と未来

日野橋での交通は2020年11月より新たな架替事業が開始され、2025年には新日野橋（仮橋）が開通する予定です。この工事により、さらなる交通の安全性や利便性が向上すると期待されています。周辺には多摩川緑地運動公園や日野宿本陣跡、日野の渡し記念碑などの観光スポットも点在し、地元住民や観光客にとって大変魅力的な場所となっています。

日野橋は単なる交通手段の一つではなく、地域の歴史を語る重要な文化財でもあります。今後も日野橋を通じて人々が多摩川を渡り、地域の歴史に触れることで、さらなる交流が生まれることでしょう。

もう一度検索