日高町駅

日高町駅

日高町駅（ひだかちょうえき）は、かつて北海道沙流郡日高町字日高に位置していた、日本国有鉄道（国鉄）富内線の鉄道駅です。富内線の終点にあたる駅でしたが、同線の全線廃止に伴い1986年に廃駅となりました。電報略号は「ヒカ」、事務管理コードは▲132315でした。

歴史

この駅は、昭和30年代後半の富内線延伸に伴い誕生しました。具体的には、1964年（昭和39年）11月5日に、富内線の振内駅から当駅までの区間が延伸開業した際に設置されました。開業当初は、旅客だけでなく貨物や荷物の取り扱いも行う一般駅として機能していました。しかし、国鉄の合理化の波を受け、まず1982年（昭和57年）11月15日に貨物の取り扱いが廃止され、続いて1984年（昭和59年）2月1日には荷物の取り扱いも終了し、旅客専業駅となりました。そして、開業からわずか22年後の1986年（昭和61年）11月1日、富内線全線の廃止という運命をたどり、日高町駅もその短い歴史に終止符を打ちました。

駅名の由来

駅名は、所在地の自治体名である「日高町」から命名されました。これは、この駅の設置を望んだ地元町民の強い要望に応える形で決定されたものです。

駅構造

廃止される直前の日高町駅は、地上駅として島式ホーム1面2線を持つ構造でした。富内線の終端駅であり、ホームに接する2本の線路は、駅舎側（東側）と外側（西側）に位置し、特に番線表示はされておらず、上下どちらの列車も利用可能でした。これらの線路は、ホームの北端部で一つにまとまる形状となっていました。旅客用の主たる線路のさらに外側には、それぞれ副本線が1線ずつ設けられていました。特に駅舎側の副本線に沿っては、貨物列車のための単式ホームが設けられており、この貨物線は途中で分岐し、本線へ合流する部分と、終端となる側線を持つ構造となっていました。駅には駅員が配置されており、駅舎は構内の東側に位置し、ホームとは北側の構内踏切によって結ばれていました。駅舎自体は鉄骨ブロック造りの平屋建てで、当時の駅としては珍しく、明るく広々とした近代的なデザインが特徴でした。

当初、この駅からはさらに根室本線の金山駅方面へ延伸する計画がありましたが、新しい路線の建設は途中で凍結され、結果として富内線は日高町駅で終結したまま廃線となりました。貨物輸送に関しては、主に地域特産の木材の搬出に利用されていました。

利用状況

利用状況を示すデータとして、1981年度（昭和56年度）の1日あたりの平均乗降客数は94人でした。

駅周辺

駅周辺には、地域の主要幹線である国道237号や274号が通り、北海道道847号三岩日高線も接続しています。近隣には、日高町の行政機能が集約された日高町役場日高総合支所（旧役場）をはじめ、日高郵便局、門別警察署日高駐在所といった公共施設がありました。教育機関としては、北海道日高高等学校、日高町立日高中学校、日高町立日高小学校などが点在していました。また、道の駅樹海ロード日高や沙流川温泉、国立日高青少年自然の家といったレジャー・保養施設も近くにあり、地域の拠点としての役割も担っていました。特に、日高山岳ビラパークには、かつて国鉄で活躍した蒸気機関車（9600形79616号機）が静態保存されており、鉄道ファンにとって見どころの一つとなっています。

駅跡の現状

駅が廃止された後、駅舎はしばらくの間、地元の農業協同組合の施設として活用されていましたが、後に解体・撤去されました。1999年頃の状況としては、駅の敷地の大部分は草原となり、空き地となっていましたが、その一部は引き続き農業協同組合によって利用されていました。同じ時期には、駅の鵡川方に向かう線路跡に、14パーミル（1000分の14）という勾配を示す標識が残されているのが確認されています。2011年には、かつて駅があった場所に「国鉄富内線の跡」と記された石碑が建立され、ここにかつて駅があったことを今に伝えています。駅へと続く通りには、当時の面影がいくらか残されています。さらに2018年時点の情報では、日高町駅で実際に使用されていた時刻表や運賃表などの備品の一部が、沙流川温泉ひだか高原荘の別館ロビー近くで展示され、駅の歴史を偲ぶことができるようになっています。

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