日鷹堅磐

日鷹堅磐（ひたか の かたしわ）

日鷹堅磐は、古代日本の豪族であり、外交官として活躍した人物です。

経歴

『日本書紀』巻第十四によれば、雄略天皇7年（推定463年）、天皇の命により、吉備上道氏が集めた百済からの技術者たちを迎えに、「日鷹吉士堅磐固安銭」（ひたか の きし かたしわ こあんぜん）が「大嶋」へ派遣されたとされています。

この「日鷹吉士堅磐固安銭」という人物の解釈については、複数の説が存在します。

1. 二人説

「日鷹堅磐」と「固安銭」という二人の人物が派遣されたとする説です。この場合、天皇の使者は二人となります。

2. 「日鷹」と「堅磐在住の固安銭」説

「日鷹」という人物と、「堅磐」（筑前国穗波郡堅磐郷と解釈）に住む「固安銭」という人物が派遣されたとする説です。この場合も使者は二人となります。

3. 同一人説

「日鷹吉士堅磐」が、帰化以前の本名が「固安銭」であり、日本へ来てから「日鷹堅磐」と名乗ったとする説です。この説では、同一人物となります。この説は、「吉士」が渡来人系の姓であることから有力視されています。例として、ラフカディオ・ハーンが小泉八雲と名乗ったように、帰化前後の名前が異なる事例を挙げています。

「日鷹」は「日高」と関連付けられ、紀伊国日高郡を本拠地とする姓「吉士」の一族が、難波吉士一族に包括されたと見ることもできます。「吉士」とは、日本に帰化した朝鮮人の名につける敬称で、渡来系氏族であり、難波、草壁、日鷹などが例として挙げられ、主に文筆や通訳など外国との事務折衝を職務としたと言われています。

また、「日高吉士堅磐」は、雄略天皇9年2月に、天皇の命で凡河内香賜を誅殺するために派遣された難波日鷹吉士と同一人物だとする説も有力です。この時、香賜は既に逃亡しており、その後、三嶋郡の藍原で弓削連豊穂に捕らえられ殺害されました。

まとめ

日鷹堅磐は、その出自や役割について、複数の解釈が存在する興味深い人物です。外交官としての活躍は、『日本書紀』に記録されており、古代日本の国際関係や氏族の動向を考察する上で重要な手がかりとなります。

脚注

『日本書紀』巻第十四
『和名類聚抄』

参考文献

『角川第二版日本史辞典』p245、高柳光寿・竹内理三：編、角川書店、1966年
『岩波日本史辞典』p288、監修：永原慶二、岩波書店、1999年
『日本書紀』（三）、岩波文庫、1995年
『日本書紀』全現代語訳（上）、講談社学術文庫、宇治谷孟：訳、1988年
『渡来氏族の謎』祥伝社新書、加藤謙吉：著、2017年

関連項目

吉備氏
吉備氏の乱
吉備上道田狭
吉備上道弟君
吉備海部赤尾
吉備下道前津屋
雄略天皇
氏姓制度
渡来人
任那日本府
陶部高貴

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