旧三和銀行

旧三和銀行（高雄市）：歴史と文化が交差する場所

旧三和銀行は、台湾の高雄市鼓山区に位置する歴史的建造物であり、その名は日本統治時代に遡ります。元々は三十四銀行高雄支店として建てられ、その後三和銀行高雄支店となりました。第二次世界大戦後には高雄市警察局の派出所として活用され、1990年までその役割を果たしました。

2003年、高雄市文化局によって「舊三和銀行」として歴史建築に登録され、修復計画が開始されました。そして2020年1月、カフェ「新濱・駅前」として新たなスタートを切りました。このカフェの名前は、建物があった場所が日本統治時代に新濱町と呼ばれていたことに由来します。

沿革

旧三和銀行の建物は、三十四銀行が支店を開設する以前から存在していました。竣工時期は正確には分かっていませんが、台湾総督府鉄道縦貫線の打狗停車場（現在の高雄港駅）が1900年に設置された後、そして打狗郵便局（現在の中華郵政鼓山分局）が1912年に完成する前に建てられたと考えられています。

過去の資料には、建築時期を1901年5月1日とするものもありますが、当時の所在地は埋立地になる前は海域だったため、2000年代に高雄市政府や建築事務所が作成した調査研究報告書では、三十四銀行高雄支店が開設された1921年を誤って表記した可能性が指摘されています。

三十四銀行高雄支店は1921年3月5日に開設され、その後、三十四銀行、山口銀行、鴻池銀行が1933年に合併して三和銀行となり、その高雄支店として営業を続けました。

終戦後、三和銀行は海外資産を放棄することになり、1946年7月には台湾にあった三和銀行の全支店と全資産が台湾銀行に正式に移転しました。その後、この建物は高雄市政府警察局鼓山分局新浜派出所として使用されましたが、手狭さと老朽化のため、1990年に高雄港駅に近い臨海三路に移転しました。その後、建物は長らく放置されていましたが、歴史建築として登録された後は、高雄市政府文化局が借り上げて修復し、文化的なスポットとして再生する計画が進められました。

台湾銀行鼓山支店

戦前には、三和銀行の向かい側、現在の臨海一路に台湾銀行打狗支店がありました。1972年9月からは、同じ場所で台湾銀行鼓山支店が営業しています。

MUFG高雄支店

三和銀行の後身である三菱UFJフィナンシャル・グループは、2016年2月25日に前鎮区のランドマークである中鋼集団総部大楼内に高雄出張所を開設しました。これにより、事実上約70年ぶりに高雄に再進出を果たしました。また、新旧の支店は高雄ライトレールによって結ばれており、旧支店は哈瑪星駅、新支店は軟体園区駅が最寄り駅となっています。

建築

旧支店は、中央の正門から左右対称の木造とコンクリートを組み合わせた2階建ての建物です。2階には柱廊があり、柱は逆扇状になっています。左右には3つの長窓があり、両階の窓の間には垂直方向に装飾が施されています。屋根はセメント瓦で覆われ、女牆と呼ばれる低い壁で囲まれています。全体として、日本で西洋建築が本格化する過渡期の和洋折衷のスタイルを示しています。壁には黄土色の煉瓦が使用され、建物の隅には特殊な煉瓦が用いられています。窓のサッシにはベニヤが多用され、木造の梁にはほぞ継ぎ工法が用いられています。戦後には大規模な改築が行われ、特に2階部分は三十四銀行時代から大きく変更されています。

この建物は、単なる建築物としてだけでなく、台湾の歴史と文化を伝える貴重な遺産として、これからも大切に保存され、活用されていくことでしょう。

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