旧富士銀行横浜支店

旧富士銀行横浜支店は、神奈川県横浜市中区本町に位置する歴史的建造物です。1929年（昭和4年）に安田銀行横浜支店として竣工し、その後、富士銀行横浜支店として2001年まで使用されました。2005年からは東京藝術大学大学院の校舎として、新たな役割を担っています。

建築の特徴

建物は、本町通りと馬車道が交わる本町4丁目交差点の角に位置しています。1923年に11行が合同で設立された安田銀行は、大正末期から昭和初期にかけて各地に支店を設けました。その中でも、盛岡、福島、本所、横浜の支店は、ルスティカ積みの外壁と4本の付柱で構成されており、共通した外観が特徴でした。この旧富士銀行横浜支店は、その中でも最大規模であり、現存する唯一の建物です。

1948年に財閥解体によって安田銀行から富士銀行に行名が変更された後も、引き続き富士銀行横浜支店として利用されました。1954年2月には、南側に増築が行われ、建物は拡張されました。しかし、2000年に富士銀行がみずほホールディングスの傘下に入り、2001年には関内駅近くのビルに移転し、統合時に横浜中央支店に名称が変更されました。

歴史的建造物としての保存

富士銀行の移転後、日本建築学会から富士銀行に対して建物の保存に関する要望が出されました。その結果、2002年には横浜市が建物を取得し、翌2003年度には横浜市認定歴史的建造物として認定されました。この認定は、建物の歴史的価値と建築学的価値を高く評価したものです。

現在の活用

2005年からは、東京藝術大学大学院映像研究科馬車道校舎として利用されています。この校舎では、映画専攻の講義が行われています。東京藝術大学大学院は、他に元町中華街校舎（メディア映像専攻）と万国橋校舎（アニメーション専攻）も横浜市内に構えています。馬車道校舎は、歴史的な建物の中で映像制作を学ぶという、独特の環境を提供しています。

その後

なお、横浜中央支店は2020年2月に、旧富士銀行横浜支店から本町通りを県庁方面に約150メートル進んだ場所にある横浜支店（旧第一勧業銀行横浜支店）に移転し、実質的に統合されました。この移転により、かつての富士銀行横浜支店の歴史は、新たな場所へと引き継がれていきました。

参考資料

• - 吉田鋼市『ヨコハマ建築慕情』鹿島出版会、1991年5月20日、98-99頁。ISBN 4-306-04284-7。
• - NPO法人横浜シティガイド協会『ハマの建築探検』神奈川新聞社、2002年6月26日、26-27頁。ISBN 978-4-87645-315-3。

旧富士銀行横浜支店は、その歴史と建築美、そして現在の芸術教育の拠点としての役割を通して、横浜の歴史と文化を今に伝える重要な建造物となっています。

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