旧岩崎邸庭園

旧岩崎邸庭園の紹介

概要

旧岩崎邸庭園は東京都台東区池之端一丁目に位置する都立庭園であり、三菱財閥の創設者である岩崎家の旧邸宅及びその庭園です。この場所の歴史的な建物は国の重要文化財に登録されており、それにより、訪れる人々に貴重な文化的財産と景観を提供しています。

歴史

池之端の初期の歴史

この地は、戦国時代の天正18年（1590年）に徳川家康が江戸城に入城した時期から関連しています。当時、江戸は宿町として名を馳せていましたが、家康は江戸城の防衛を強化するため、家臣に土地を分配しました。その一人である榊原康政には、池之端の地が与えられ、防衛の要所となりました。この地域は、前方に不忍の沼、後ろに向ヶ岡台地を背負う地形を持ち、この場所を家康が選んだことは記録に残されています。

岩崎家の時代

旧岩崎邸庭園は、江戸時代の一大名庭園を経て、明治時代に旧舞鶴藩主の牧野弼成氏の邸宅に変わりました。その後、三菱の創設者である岩崎弥太郎が明治11年（1878年）にこの地に居を構えましたが、適用される図面がないため当時の庭園の詳細は不明です。しかし、研究者栗野隆は岩崎家に関する資料や記録を元に、当時の庭園の復原図を作成しました。この図によれば、弥太郎が作り上げた庭園の基本構成を維持しつつ、彼の息子である久弥が和館を、さらには洋館の周囲に洋風の芝庭を作り出したことが推測されています。

戦後と再評価

昭和20年（1945年）の終戦以降、この邸宅は米国CIAのキャノン機関に接収されましたが、戦後の混乱が収束する中で最終的に日本政府に返還されました。その後、文化財としての重要性が再評価され、最初は立教大学系の聖公会神学院がこの敷地を使用しました。

続いて、1961年から重要文化財として登録され、官公庁の管理下で適切に保護されることになりました。そして、2001年には東京都の管理する都立公園として開園し、現在に至っています。

主な見所

旧岩崎家住宅

特に注目すべきは、洋館、大広間、撞球室などの建物です。これらは国の重要文化財として保護されています。洋館は1896年にジョサイア・コンドルによって設計され、西洋館として交流の場として機能しました。独特のジャコビアン様式の意匠と、南面にはコロニアル様式の要素が色濃く表れています。

和館

和館は当時の日常的な生活空間として用いられ、洋館に施された文化とは異なる独自の価値を持っています。和館部分は破棄されたものの、その大広間は重要文化財に指定され、現在もその存在を確認できます。

庭園

庭園は初期の大名庭園の設計を踏襲しており、庭石や築山、灯篭を配した美しい景観が楽しめます。豊かな自然とともに、往時の姿を偲ばせるものが残り、散策を通じて歴史を感じることができます。

利用情報

開園時間は午前9時から午後5時までで、特別イベント時には延長されます。一般入園は400円、65歳以上は200円で、中学生以下は無料です。無料公開日も設けられており、見学者に優しい環境が整えられています。

最後に

旧岩崎邸庭園は、歴史的な背景を持ちながら、美しい日本庭園と洋風建築が融合した特異な魅力を持つ場所です。文化財としての重みを感じながら、訪れるすべての人々に新たな発見と感動を提供しています。

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