明石志賀之助

明石 志賀之助（あかし しがのすけ）

明石志賀之助は、下野国宇都宮（今の栃木県宇都宮市）出身の大相撲力士であり、初代横綱とされています。彼の生没年に関する記録は不詳ですが、江戸時代前期に実在した人物と考えられています。日本相撲協会によって、初代横綱として公式に認定されている彼は、力士としての力業だけでなく、相撲技術の発展にも寄与したとされ、多くの技の基礎となる「四十八手」を考案したと伝えられています。

来歴

明石志賀之助は、江戸時代初期、下野国の宇都宮で、地元の藩士・山内主膳の子供として生まれました。彼の幼名は鹿之介です。彼は1624年に江戸の四谷塩町で初めて行われた勧進相撲の興行者のひとりであり、これが江戸勧進相撲の創始者と言われる所以となっています。ただし、その証拠として存在する番付は後に偽物と見なされたため、彼が真の創始者であったかどうかには疑問の余地があります。

明石は江戸だけでなく、京や長崎など日本各地で相撲を取り、その強さが際立っていたと言われています。特に京での出来事が彼の名声を高めたと言われ、仁王仁太夫を倒した際には朝廷から「日下開山」と称号を受けたと伝えられています。この称号が彼の横綱としての地位を裏付けるとされており、後の横綱制度に影響を与えた可能性があります。

1900年には、陣幕久五郎が主導で富岡八幡宮に建立された横綱力士碑に歴代横綱の名前が刻まれ、その中に明石志賀之助の四股名も含まれています。これは彼が正式に横綱として評価されている証拠の一つです。

明石の実在性

明石志賀之助の実在については、いくつかの説があります。彼による相撲に関する出来事や慣習は後世の伝承や講談などによって語られていますが、信頼できる資料が乏しいため、実在の確認は難しい状況です。しかし、彼の取った手形が現存していることや、1661年に山形藩主の前で相撲を取った記録が残っていることなどが、彼の実在を裏付ける材料とされています。

生年については、1607年（慶長12年）とされる説もあり、この場合、1661年に取った相撲の時点で54歳ということになります。しかし、彼が48歳で亡くなったとの記録もあり、これに対する明確な矛盾が生じるため、実際の生没年については謎が残ります。

歴史学者の池田雅雄は「歴代横綱正伝」で明石の実在を否定しており、他の研究者は彼をモデルにした複数の力士が存在していた可能性を指摘しています。

現在、栃木県宇都宮市の蒲生神社では、2008年から「初代横綱 明石志賀之助杯少年奉納相撲大会」を開催しており、彼の名を冠したイベントが後世にも影響を及ぼしていることが伺えます。彼の伝説が相撲界に残る限り、明石志賀之助は時を超えて語り継がれていくことでしょう。

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