星くず兄弟の伝説

星くず兄弟の伝説

『星くず兄弟の伝説』は、1980年10月25日に世に送り出された日本の音楽作品です。音楽家・近田春夫のソロキャリアにおける2作目のアルバムおよび4作目のシングルとして、同日発売されました。

制作背景

本作は、近田春夫が古巣のキングレコードから日本コロムビアへ移籍して最初に発表した作品群にあたります。アルバムのコンセプトは、近田氏が深く傾倒していた映画『ファントム・オブ・パラダイス』（1974年、ブライアン・デ・パルマ監督）から強い影響を受けて構想されました。具体的には、彼の頭の中にのみ存在した「架空のロック・ミュージカル映画」のサウンドトラックとして企画されたものです。発表当時、『星くず兄弟の伝説』という名の映画は現実には存在しませんでした。

当時の近田氏のバックバンドであった「BEEF」は、既に「ジューシィ・フルーツ」として独立し、シングル『ジェニーはご機嫌ななめ』の大ヒットにより独自の活動を展開していました。そのため、アルバム制作にあたっては、バンドFILMSのギタリストであった赤城忠治氏が作曲および演奏面で協力しています。

映画との関わり

同日発売されたシングルに収録された表題曲『星くず兄弟の伝説』およびB面曲『星くず兄弟のテーマ』は、1980年10月4日に公開された角川映画『ニッポン警視庁の恥といわれた二人 刑事珍道中』（脚本：鎌田敏夫、監督：斎藤光正）に採用されました。前者が主題歌、後者が挿入歌として使用されています。なお、この映画の音楽プロデュースは近田氏自身が担当していました。

その後の展開と映画化

当初は近田氏の脳内構想であった「星くず兄弟の伝説」という映画は、本作アルバムを原案として、発売から5年後の1985年に現実のものとなります。手塚眞監督によって同名の実写映画『星くず兄弟の伝説』が制作・公開されました。この映画化にあたり、音楽面でも新たな展開がありました。オリジナルアルバムの楽曲をリメイクし、さらに書き下ろしの新曲を加えたサウンドトラック盤『「星くず兄弟の伝説」オリジナル・サウンド・トラック』（1985年）が制作され、スターダスト・ブラザース名義のシングル『星くず兄弟の伝説』（B面『ガソリンの雨』）と同時にSMSレコードからリリースされています。

リリース履歴

オリジナル盤発売後、本アルバムは複数回にわたりCDで再発売されています。

1990年10月21日：コロムビアミュージックエンタテインメントよりCD化
1993年10月21日：同社「CD文庫1500」シリーズの一環として再発売
2001年10月21日：同社「CD文庫1500」シリーズとして再度再発売
2008年8月20日：株式会社ユースより再発売

シングル収録曲

Side Bはインストゥルメンタル楽曲です。

このアルバムとシングルは、近田春夫の実験的な音楽性と、その後のメディアミックス展開の可能性を示唆する、ユニークな作品として記憶されています。

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