星のナイト・クラブ

西田佐知子のディスコグラフィーにおいて、重要な位置を占める作品の一つに、1969年に発表されたオリジナルアルバム『星のナイト・クラブ』と、それに先立って同年8月5日にリリースされた同名のシングル曲が挙げられます。これらの作品は、当時のポリドール・レコード（現在のユニバーサルミュージック）から発売されました。

アルバム『星のナイト・クラブ』

このアルバムの正式タイトルは、『愛のささやき星のナイト・クラブ』です。LPレコード盤として、規格品番SMR3066で発売されました。当時の帯には「愛のささやき〜オリジナル満載のアルバム」というコピーが付けられており、本作がオリジナル楽曲を中心に構成されていることがうかがえます。しかしながら、2017年時点ではまだCD化が実現しておらず、オリジナルのLP盤などが現在では希少価値の高いコレクターズアイテムとなっています。

アルバムは合計13曲を収録しており、A面とB面に分かれています。

sideA

星のナイト・クラブ
作詞：橋本淳、作曲・編曲：筒美京平
（先行シングルA面曲）
悲しい夢
作詞：橋本淳、作曲・編曲：筒美京平
（先行シングルB面曲）
傷ついた花びら
作詞：芦屋浩三、作曲・編曲：鈴木邦彦
情熱のカトレア
作詞：水木かおる、作曲・編曲：小野崎孝雄
あなた私のもの
作詞：滝田順、作曲・編曲：ジャック・ヴィバル・小林亜星
好きだけど
作詞：なかにし礼、作曲：すずきともこ、編曲：小野崎孝雄
雨はなにも知らない
作詞：熱海正子、作曲：下村耕史、編曲：川上義彦

sideB

くれないホテル
作詞：橋本淳、作曲・編曲：筒美京平
（シングルA面曲）
女の坂道
作詞：橋本淳、作曲・編曲：筒美京平
愛のどれい
作詞：なかにし礼、作曲・編曲：小林亜星
あの星空は忘れない
作詞：水木かおる、作曲：藤原秀行、編曲：川上義彦
どうすればいいの
作詞：梅本たかし、作曲：中野静雄、編曲：竹内一朗
哀愁のボレロ
作詞：水木かおる、作曲：藤原秀行、編曲：伊部晴美
去りゆく恋
作詞：水木かおる、作曲：木村狐童、編曲：竹内一朗

アルバムには、橋本淳、筒美京平、小林亜星、なかにし礼、水木かおるなど、当時の歌謡界を代表する作詞家・作曲家・編曲家たちが多数参加しており、西田佐知子の魅力を引き出す多様な楽曲が収められています。

シングル『星のナイト・クラブ』

アルバムに先行して1969年 8月5日に発売されたシングル「星のナイト・クラブ」は、西田佐知子のシングル盤（7インチ）として、規格品番SDR-1452でリリースされました。

表題曲「星のナイト・クラブ」は、歌詞に「銀座」が登場することからもわかるように、夜の歓楽街を舞台にした情景描写が印象的な歌謡曲です。演奏は、ポリドール専属のオーケストラが担当し、楽曲の世界観を彩っています。

シングルに収録されたA面「星のナイト・クラブ」とB面「悲しい夢」は、いずれも作詞を橋本淳、作曲・編曲を筒美京平が手がけました。この橋本淳と筒美京平のコンビは、西田佐知子のヒット曲「くれないホテル」をはじめ、同時期に大ヒットを記録したいしだあゆみの「ブルー・ライト・ヨコハマ」など、多くの名曲を生み出しており、当時の日本のポピュラー音楽シーンを牽引したゴールデンコンビとして知られています。

楽曲の収録作品

シングルA面曲「星のナイト・クラブ」は、その人気の高さから、その後数多くの西田佐知子のベストアルバムや全曲集に繰り返し収録されています。例えば、『ベストヒットアルバム／女の意地』（MR-3162）、『パーフェクト24』（1976年盤：MR-9947/8）、『GOLDEN☆BEST 西田佐知子』（2003年盤：UICZ-6041）、『西田佐知子歌謡大全集』（2007年盤：UPCY-9096/100）など、代表的な作品にはほぼ網羅されています。

また、シングルB面曲「悲しい夢」や、アルバム収録曲である「傷ついた花びら」、「女の坂道」なども、『パーフェクト24』（1975年盤：MR-8635/66）といったベスト盤に収録されており、オリジナルアルバムに収められた楽曲群全体の質の高さがうかがえます。