春の戯れ

映画『春の戯れ』

『春の戯れ』は、1949年4月12日に公開された映画で、映画芸術協会と新[[東宝]]の共同制作によるものです。本作は、フランスの劇作家マルセル・パニョルの戯曲『マリウス』をもとに、山本嘉次郎監督が日本の港町を舞台に翻案した恋愛映画です。この作品は、前作『風の子』に続く映画芸術協会の第二作目となっています。

あらすじ

物語の舞台は、幕末の動乱が収束し明治が始まったばかりの頃。品川にある居酒屋『入舩屋』の主人・金蔵の息子、正吉は、未知の外国に対する夢を抱いています。特に横浜に来航したノルマンジャ号の存在が、彼の心に一層の憧れを火を付けました。

ある日、居酒屋にやって来たノルマンジャ号の乗組員たちと交流を持ち、彼らが話すニューヨークやシンガポールのストーリーに興じる正吉。しかし、水夫長が「船に乗りたいなら、出港前に尋ねて来い」と囁くことで、彼の夢はますます膨らみます。一方で、彼の心の中には幼馴染で愛しいお花が存在します。お花は19歳で、正吉の遊び相手でもあり、彼を心から愛しています。それでも正吉は、大海への夢に焦がれていました。

そんな中、お花に思いを寄せる町の呉服屋の旦那・徳兵衛が登場します。寡黙ながらお花に深い愛情を抱いていた徳兵衛は、彼女を嫁に迎え入れようと奮闘します。お花は最初こそ断りますが、徳兵衛の真摯な姿に心を打たれ、受け入れることになるでしょう。

ノルマンジャ号の出港前夜、正吉はお花との関係を深めようとするが、お花は強い思いから正吉を送り出す決断をします。正吉は胸に重い思いを抱えながら旅立ち、彼の夢が広がっていくのです。

しかし、物語はここで一転します。お花の妊娠が発覚し、徳兵衛はその事実を知ることになりますが、彼はそのことを承知の上でお花に求婚します。お花は悩みながらも、徳兵衛の献身的な愛情に心打たれ、この新しい生活を受け入れる決心を固めます。

結末

約1年半後、無事に男の子を産んだお花は、徳兵衛とともに幸せに暮らしていました。その頃、正吉が帰国しますが、お花の家庭事情を知り、彼女と子供を奪い返そうとする。しかし、お花は正吉に対する思いを認めながらも、現在の生活の幸せを選ぶのです。「元は正吉の子かもしれないが、今は徳兵衛の子なのだ。」と告げるお花。それを聞いた正吉は、再度海へと旅立つ決意を固めます。

キャスト

• - お花を演じるのは高峰秀子。
• - 正吉を宇野重吉が演じ、西洋に憧れる青年を表現。
• - その他、金蔵役の徳川夢声や、水夫長役の江川宇礼雄、徳兵衛役の三島雅夫などが参加。

この作品は、愛と夢、そして責任の狭間で揺れる人々の姿を描いており、視覚的な美しさとストーリーテリングが融合した傑作です。

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