春日富士晃大

春日富士 晃大（かすがふじ あきひろ）

1966年2月20日、宮城県牡鹿郡牡鹿町（現在の石巻市）に生まれた春日富士晃大は、その生涯を大相撲の世界に捧げた力士です。本名を岩永祥紀といい、177cm、144kgという恵まれた体格を活かした、突き押し相撲を得意としました。最高位は東前頭筆頭まで昇りつめ、その活躍は多くの相撲ファンを魅了しました。

生い立ちと入門

春日富士は、5歳の時に神奈川県川崎市へ転居し、川崎市立桜本中学校時代にはその怪童ぶりで知られていました。しかし、その一方で、素行の悪さも噂されており、春日山親方（元前頭筆頭・大昇）が勧誘に訪れた際には、学校長がその入門をためらうほどでした。それでも、春日富士は中学卒業後、春日山部屋に入門し、1981年3月場所に初土俵を踏みました。

力士としての活躍

1988年1月場所には新十両、1989年3月場所には新入幕を果たし、その実力を開花させました。1990年7月場所には、師匠の退職を花道に飾るかのように、10勝5敗の好成績で敢闘賞を受賞。突き押し相撲を武器に、幕内力士として活躍を続けました。

春日山部屋が安治川部屋に吸収合併された後も、幕内中堅力士として活躍し、1990年9月場所には大関・北天佑を破る殊勲の星を挙げました。また、1991年のロンドン公演中に膝を負傷するも、海外公演には公傷制度が適用されないため、休場せずに連続出場を続けました。この連続出場記録は、初土俵から引退まで1060回に達しました。

春日富士は、中アンコ型と呼ばれる体型でしたが、大型化する力士たちを相手に、突き押しだけでなく、変化やいなしも駆使した、キビキビとした相撲で観客を沸かせました。

引退と年寄としての活動

1996年9月場所を最後に現役を引退し、年寄・春日山を襲名して春日山部屋を再興。故郷の川崎市に部屋を構え、地域に根ざした部屋作りを目指しました。

2011年には、弟子の八百長問題の責任を取り、役員から降格処分を受けましたが、翌年には理事に選出されました。しかし、2012年2月29日には、年寄名跡と部屋を同門の元幕内・濵錦に譲り、自らは「雷」に名跡を変更して、部屋付親方として日本相撲協会の理事や協会総合企画部長などを務めました。

不祥事と退職、そして訴訟

2012年9月には、週刊誌で女性事務員との不倫と協会経費の不正使用疑惑が報道され、協会を退職しました。退職に際しては、「報道は噂話で違う部分もあるが、協会に迷惑をかけたのは事実」とコメントしました。

その後、2013年には、名跡証書の返還を求めて濵錦から訴訟を起こされましたが、一審判決では春日富士の主張が認められました。しかし、濱錦が控訴したため、和解協議が続けられ、2017年に和解が成立しました。

死去

2017年3月9日、春日富士は心筋梗塞により51歳でその生涯を閉じました。その死は、多くの相撲ファンに惜しまれました。

主な成績

通算成績：518勝542敗5休 勝率.489
幕内成績：289勝341敗 勝率.459
現役在位：94場所
幕内在位：42場所
三賞：1回（敢闘賞：1990年7月場所）
金星：なし

改名歴

岩永 祥紀（いわなが しょうき）1981年3月場所 - 1983年3月場所
春日富士 祥紀（かすがふじ しょうき）1983年5月場所 - 1987年7月場所
春日富士 晃大（かすがふじ あきひろ）1987年9月場所 - 1996年9月場所
年寄名：春日山 由晃（かすがやま よしあき） 1996年11月場所 - 2012年2月29日
* 雷 昌之（いかずち まさのり） 2012年2月29日 - 2012年9月20日

春日富士晃大は、その波乱に満ちた人生と、相撲に対する情熱で、多くの人々の記憶に残る力士でした。

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