春日王 (志貴皇子の子)

春日王：奈良時代の皇族とその生涯

春日王は、奈良時代の皇族です。生年は不明ですが、天平17年4月28日（745年6月2日）に亡くなりました。父は志貴皇子、母は託基皇女（多紀皇女・当耆内親王）で、天武天皇の血筋を引く皇族という出自を持ちます。

春日王の経歴は、主に『続日本紀』を元に知ることができます。養老7年（723年）、まだ位階を持たない状態から、二世王の蔭位によって従四位下に叙せられました。これは、皇族としての身分と影響力による特例的な昇進であったと考えられます。その後、聖武朝において順調に昇進を重ね、天平3年（731年）には従四位上、そして天平15年（743年）には正四位下へと昇叙されました。これは、春日王が朝廷において一定の地位と役割を担っていたことを示唆しています。最終的な官位は散位正四位下でした。

春日王の死は天平17年（745年）4月28日に記録されています。享年については資料が不足しており不明ですが、正四位下という高い位階にまで上り詰めたことから、当時としては比較的長寿であった可能性も考えられます。

春日王の系譜を見ると、父である志貴皇子は、天智天皇の皇子であることから、春日王は天智天皇の男子系の孫にあたります。一方、母である託基皇女は天武天皇の皇女であるため、春日王は天武天皇の女子系の孫でもあります。このように、春日王は皇室の中でも重要な血筋を受け継いでいたことが分かります。

さらに、春日王には安貴王、高田王（？-735）、香久王ら複数の男子がいたことが知られています。これらの王子たちは、後の日本の歴史にどのような影響を与えたのか、今後の研究が待たれます。

春日王の生涯は、当時の朝廷における皇族の地位や昇進システム、そして皇室の血統と権力構造を理解する上で重要な手がかりとなります。比較的短いながらも、位階を昇進していった経歴から、春日王が政治的にも一定の影響力を持っていた可能性を示唆しています。しかしながら、現存する史料は限定的であるため、春日王の具体的な活動内容や人となりについては、今後の研究により解明される必要があるでしょう。

官歴

以下に、春日王の官歴を『続日本紀』に基づきまとめます。

養老7年（723年）正月10日：従四位下（直叙）
天平3年（731年）正月27日：従四位上
天平15年（743年）5月5日：正四位下
天平17年（745年）4月28日：卒去（散位正四位下）

系譜

父：志貴皇子
母：託基皇女（多紀皇女・当耆内親王）
子：安貴王、高田王（？-735）、香久王

参考文献

宇治谷孟『続日本紀』（上中巻）講談社〈講談社学術文庫〉、1995年
* 宝賀寿男『古代氏族系譜集成』古代氏族研究会、1986年

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