春日顕国

春日顕国（かすが あきくに）

春日顕国は、南北朝時代に活躍した公家であり、武将でもあります。彼の本名は顕時とも呼ばれ、村上源氏系の家系で成人した正三位の源顕行の子です。顕国は左近衛中将や侍従という官位に就いており、「春日中将」や「春日侍従」としても知られています。南朝派の一員として、彼は同じく南朝に仕えていた北畠親房と顕家父子のもとで数多くの戦跡を踏破しました。

経歴と戦歴

顕国は、陸奥守鎮守大将軍の北畠顕家に従い東国へと向かい、南朝側の武将として戦闘に従事しました。建武3年（1336年）の11月7日には、北朝側の茂木城を制圧しましたが、城主である茂木知貞によって再び奪還されました。その後、建武4年（1337年）には顕家の指示を受けて、足利方の小山氏が拠る小山城に攻撃を仕掛け、多田貞綱と共に攻防戦を繰り広げます。

顕家の死後、彼はその父親である北畠親房の下で活動を続け、常陸国の小田治久が拠点とする小田城に入りました。当時、常陸の南朝側は北朝の佐竹氏に対抗しており、春日顕国は下野国の宇都宮氏と対峙する状況でした。延元元年/建武3年（1336年）には顕国とその部下は佐竹義春軍との戦闘に従事しました。

その後、顕国は下野を攻め、宇都宮氏の支援を受けて紀党益子氏の矢木岡城や益子古城を攻略したり、興国2年（1341年）には飛山城を制圧し、宇都宮氏の背後を突くことに成功します。常陸でも中郡城を攻略し、一時は居城としていたものの、後に北朝に奪回される事態に直面しました。

顕国の南朝方での活動は続きましたが、興国4年/康永2年（1343年）には大宝城と関城が陥落。親房は吉野に退去しますが、顕国は東国に留まり戦いを続けました。興国5年/康永3年（1344年）には近隣の小田氏と東条氏が北朝に制圧されると、顕国は各地に身を隠し北朝の攻撃から逃れることに努め、最終的には馴馬城に籠城しました。しかし、笠間宍戸荘の宍戸朝里の攻撃により、城が陥落してしまいます。

彼は3月8日に北朝方に捕らえられ、甥たちと共に処刑される運命を辿りました。顕国の遺体は京都に送られ、3月29日に首がまで大路を引き回される計画が立てられましたが、最終的には4月24日に洛中の六条河原で晒されることとなりました。このような厳しい処遇は、顕国が常陸で最後まで抵抗した証であり、北朝方の武士たちの苦戦を物語っています。足利尊氏は、顕国が討たれたことで東国が鎮静している旨の手紙を送ったとされており、実際に彼の死は、南朝の抵抗運動に深刻な打撃を与えました。

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