春立駅

春立駅：日高本線の歴史を刻んだ小さな駅

春立駅は、北海道日高郡新ひだか町静内春立に存在した、北海道旅客鉄道（JR北海道）日高本線の駅です。2021年4月1日、鵡川駅～様似駅間の路線廃止に伴い廃駅となりました。

歴史：昭和初期から平成の時代まで

春立駅は1933年（昭和8年）12月15日、国有鉄道日高線静内駅～日高三石駅間の延伸開通と同時に開業しました。当初は一般駅として運行していましたが、1977年（昭和52年）2月1日には貨物・荷物取扱いが廃止され、無人駅（簡易委託）となりました。その後、交換設備も廃止され完全に無人化されています。1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化により、JR北海道の駅となりました。駅舎は貨車駅舎に改築された後、1996年（平成8年）に木造の駅舎に建て替えられました。2015年（平成27年）1月には、大雪による高波被害と土砂流出により、運行が一時的に休止、代行バスが運行されました。そして、2021年4月1日、長きに渡る歴史に幕を閉じ、廃駅となりました。

駅名：アイヌ語に由来する地名

駅名は、その所在地である地名に由来します。この地名は、アイヌ語の「ハルタウㇱナイ（haru-ta-us-nay）」に由来し、「食料を採る（掘る）いつもする沢」という意味を持ちます。この地名の由来は、古くからの生活様式と深く関わっていると考えられます。

駅構造：単式ホームの地上駅

春立駅は単式ホーム1面1線の地上駅でした。かつては列車交換が可能な相対式ホーム2面2線の構造でしたが、時代と共に簡素化され、交換設備は撤去されました。ホームは線路の南側に位置し、駅舎とは通路で連絡していました。駅舎は南側にあり、有人駅時代を経て貨車駅舎に改築、さらに1996年に改築された木造駅舎が使用されていました。

利用状況：減少傾向にあった乗客数

春立駅の利用状況は年々減少傾向にありました。具体的な数値は公開情報からは読み取れませんが、バス代行期間の存在や集計期間の違いなどから、正確な数値把握は困難です。しかし、利用者減少は、路線廃止の決定に大きく影響した要因の一つと考えられます。

駅周辺：静かな漁村の風景

春立駅周辺は、静かな漁村の風景が広がっています。北海道道796号西端春立線や国道235号が近くを通っており、春立郵便局や春立漁港、ひだか漁業協同組合本所なども存在しました。また、現在は廃校となっている新ひだか町立春立小学校もありました。春立海岸は駅西側に約0.5kmの距離に位置し、自然豊かな環境が魅力です。道南バスの停留所もあり、バスによる交通手段も確保されていました。

隣の駅

春立駅に隣接していた駅は、東静内駅と日高東別駅です。日高本線は、これらの駅を含め、多くの駅が廃線により消滅しました。春立駅は、日高本線の歴史を象徴する駅の１つとして記憶に刻まれています。

まとめ：消えた駅、残された記憶

春立駅は、日高本線の歴史を物語る駅の１つです。アイヌ語に由来する駅名、時代の変化と共に変化した駅舎、そして静かな漁村の風景。廃線によってその姿は消えてしまいましたが、この地で生活した人々の記憶、そして日高本線の歴史の一部として、これからも語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索