昭武九姓

昭武九姓について

昭武九姓（しょうぶきゅうせい）は、中国の歴史において、南北朝時代から隋・唐時代にかけて存在した9つのオアシス都市国家を指します。これらの国家は、主に中央アジアのソグディアナ地方に位置し、それぞれの国の国王が「昭武」を姓として名乗ったため、このように呼ばれています。また、これらの国々の住民の大多数がソグド人であったため、彼らは「九姓胡」とも称されています。

九つの姓

“九姓”は、『新唐書』の記録によれば、康国、安国、曹国、石国、米国、何国、火尋国、戊地国、史国の9つの国家を指します。各国の比定地は現在のサマルカンド、ブハラ、カブーダン、タシュケント、マーイムルグ、クシャーニヤ、不明、不明、キシュとされています。しかし、『新唐書』の記録以前には、『北史』や『隋書』で触れられている内容が異なり、その中には康国、安国、鏺汗国、米国、史国、何国、烏那遏国、穆国、漕国が含まれていました。

さらに詳しく見ると、昭武九姓が形成される過程として、先祖が月氏であり、かつては祁連山昭武城に住んでいたことが知られています。彼らは紀元前2世紀に匈奴に追われ、最初は塞族を駆逐してイシク湖周辺に移住しましたが、続けて烏孫に押し出され、ソグディアナに根を下ろすことになりました。その後、いくつかの小姓小国に区分されましたが、いずれも故地を忘れないように「昭武」という姓を受け継ぐこととなります。

歴史的展開

昭武九姓の国々は、南北朝時代にはエフタルに支配され、隋代になると西突厥の影響下に入りました。唐代になると、彼らは唐に属し、特に永徽年間（650年から655年）には康居都督府が設立されて安西都護の管理下に置かれるようになりました。ソグド人の商業活動は盛んであり、早くから中国との貿易を行い、唐代にはその繁栄の頂点に達しました。特に康国と石国は、商業において特に重要な役割を担っていました。

現在の西安や洛陽では、曹、石、米、何、康、安という姓の墓誌が発見されており、これらは軍務などでの唐との結びつきを物語っています。また、唐で多くの著名人が登場していますが、反乱者として有名な安禄山は康国出身であり、彼とともに反乱を起こした史思明は史国の人間であることなどが挙げられます。

ソグド姓の影響

昭武九姓の国々に住むほとんどの人々はソグド人であり、彼らは中国での行政上の必要に応じて漢字の名前を持つようになりました。そして、その際、自分の出身都市を名称として漢字に取り入れました。サマルカンドの人々は「康」、ブハラの人々は「安」、マーイムルグの人々は「米」、キッシュの住民は「史」、クシャーニヤの人々は「何」、カブーダンの住民は「曹」、そしてタシュケントの人々は「石」と名づけられました。これらの姓は「ソグド姓」としてまとめられ、都市名が不明な中でも、「羅」、「穆」、「翟」といった姓もソグド姓の一部とされています。

まとめ

昭武九姓は、繁栄した商業活動や文化的交流を通じて、東西の交差点で重要な役割を果たした歴史的な国家群です。彼らの影響は今もなお、中国の歴史と文化に痕跡を残しており、当時の国々の名称や人々の姓を通じてその歴史を知ることができます。

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