符号分割多元接続

符号分割多元接続（CDMA）とは

符号分割多元接続（CDMA: Code Division Multiple Access）は、複数の通信を同一の周波数帯域で同時に行うための技術です。この技術は、異なる通信を識別するために、それぞれに固有の符号を割り当てることで実現されます。CDMAは、主に以下の2つの方式に分類されます。

直接拡散符号分割多重接続（DS/CDMA）: 各データ信号を、より広い帯域幅に拡散させることで、他の信号との干渉を低減します。
周波数ホッピング（FH）: 信号が使用する周波数を、一定のパターンで高速に切り替えることで、干渉を回避します。

CDMA技術は、衛星通信、携帯電話、軍事用暗号通信など、様々な分野で利用されています。

携帯電話におけるCDMA

携帯電話の分野では、CDMAは重要な役割を果たしています。アメリカでは、クアルコム社が開発した「IS-95」規格が広く採用されました。これは、「cdmaOne」というブランド名で知られています。CDMAは、時分割多元接続（TDMA）とは異なり、常に複数の無線接続が可能です。多数の接続は通信速度の低下を招きますが、基地局の数が限られている状況下では、TDMAよりも効率的な運用が可能です。CDMAは、北米において、TDMA規格との競争を経て、「CDMA2000」規格として標準化されました。

CDMAの種類

CDMAにはいくつかの種類が存在します。

cdmaOne: 米国クアルコム社が開発した規格で、KDDI/沖縄セルラー電話 (au) のサービスで利用されていました。
W-CDMA: 日本・欧州で開発された規格で、NTTドコモのFOMAやSoftBank 3Gで利用されていました。
CDMA2000: 米国クアルコム社が開発した規格で、KDDI/沖縄セルラー電話 (au) のCDMA 1XやCDMA 1X WINで利用されていました。
TD-CDMA: 慶應義塾大学で研究開発された規格です。

Cell Breathing

CDMA特有の現象として、「Cell Breathing」と呼ばれるものがあります。これは、基地局のセルサイズが、まるで呼吸をするかのように伸縮する現象です。CDMAでは、セル内の携帯電話が同一周波数で通信するため、常に干渉が発生しています。セル内の加入者数が増加し、容量限界に近づくと、基地局から遠い端末は干渉の影響を強く受け、通信が困難になります。この状況を避けるため、基地局は端末の送信電力を制御します。この結果、セル全体を見ると、あたかもセルの大きさが収縮しているように見えます。この現象は、周波数分割多元接続（FDMA）やTDMAでは見られません。

その他の関連技術

多元接続: 複数のユーザーが同一の通信媒体を共有する技術の総称。
時分割多元接続（TDMA）: 時間を分割して複数のユーザーが通信を行う技術。
スペクトラム拡散: 信号の帯域幅を広げることで、干渉の影響を低減する技術。
直交符号（Walsh Code）: CDMAで使用される、相互に干渉しない符号。

これらの技術は、現代の通信システムを支える重要な要素です。

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